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執筆者の写真Hatsuo Yamada

(続)×4 あなたの仕事は、「何のために」、「誰のために」?

更新日:2023年4月2日

11月の記事は、Twitterで苫米地博士にリツイートしていただいたおかげで、700人以上の方々に読んでいただきました。


「何のために」、「誰のために」は、仕事をやる上での原点です。これを重要だと考えられる方は、人生のある場面で、自分が「何のために」、「誰のために」を考えて仕事していなかったことに気づいた方かも?






ある設備メーカーのメンテナンスサービスを担当している方々のカイゼン活動についてのお話です。



 

彼らは、毎日忙しく働きまくることがコンフォートゾーンになっていました。

毎日毎日、来る日もくる日も自分の仕事をこなすことが精一杯の状況でした。

なかなか楽になる兆しも見えてきません。


でも、ここから抜け出すことができない状況でした。


これが彼らにとっては、当たり前になっている世界なのです。


この事例は、コンフォートゾーンの負の面です。


「ゾーンに入った!」などという場合は、コンフォートゾーンの正の面です。

サッカーのホームでの試合のように、リラックスできて良いパフォーマンスをあげることができます。


彼らも熟練した仕事なので、パフォーマンスは高いのですが、仕事に追いまくられて、処理だけしているような現状を受け入れていました。


最初の半年のカイゼン活動では、忙しさを少しでも軽減するために、ITを活用してムダとりに成功しました。


「カイゼンってムダとりなんでしょ。」

「俺たちムダ取りに成功したよ。」

「もうカイゼンなんか勘弁してよ。」

        と思っていたかどうかは定かではありません。


前期の報告会では、そんな彼らの報告に対して、

トップから「そもそも君たちの仕事は何のためにやっているのかをよく考えて、なくせるものは大胆に無くしてほしい。」というきついコメントを頂戴してしまいました。


この一言が彼らの無意識に火をつけたようです。

彼らは、現実を見つめ始めました。


彼らの作った手順書のユーザー(現場でメンテナンス工事を行う方々)と向き合い始めたのです。


今まで漠然耳にしていたことを、ユーザーの口から聞くことになったのです。


「前から、(私たちが作った)手順書を、作業者が

あまり使っていないと言う噂は聞いていましたが、本当でした。」


「(私たちが作っている)手順書が、

あまり役に立っていないよう(で残念)でした。」


「現地工事のリーダーが、手順書は工事担当者が理解できる内容

であることが望ましいと言っていました。」


彼らは、今までどっぷりと浸かっていたコンフォートゾーンから、一歩外に歩き始めました。


そうしたら、ユーザーの本音が頭の中に飛び込んできました。


コンフォートゾーンを覆っていた、RAS(網様体賦活系)のフィルターが、見事に外れました。


コンフォートゾーンから抜け出すには、大きなエネルギーが必要です。


放っておいたら、いつまでもコンフォートゾーンの中に安住してしまいます。


しかし、一歩外に踏み出すことで、スコトーマに覆われていて、見えなかったものが見えてきたのです。


彼らあるべき姿が目の前に現れ始めたようです。


「悪いけど、手順書はあまりみていないよ。」

「手順書は使いにくいからね。」と言われて、

無意識に脳には音の振動として入っていましたが、言葉(意味)として理解していませんでした。

 

「自分が忙しい中、苦労して作った手順書を使っていない?」

「あんなに手間をかけて作っているのに、使っていない?」


正直言って悔しさが込み上げてくるのを抑えることができませんでした。


早速彼らは、現場のリーダーに話を聞きにいきました。


そうしたら、ユーザーの本音が彼らの頭の中に飛び込んできたのです。


「前から、(私たちが作った)手順書を、作業者が

あまり使っていないと言う噂は聞いていましたが、本当でした。」


「(私たちが作っている)手順書が、

あまり役に立っていないよう(で残念)でした。」


「現地工事のリーダーが、手順書は工事担当者が理解できる内容

であることが望ましいと言っていました。」


 

今回彼らの頭の中に飛び込んできた情報は、以前から彼らの周りにたくさん転がっていたものでした。

  1. 現地工事リーダーは、手順書を作業者のために作ってほしいと考えている

  2. 作業者は、今の手順書をあまり活用していない

でも、彼らはそれを彼らにとって重要な情報だと思っていませんでした。


現状のコンフォートゾーンにどっぷり浸かってしまっているので、外の世界が見えなくなっていたのです。


彼らは、脳内のRAS(網様体賦活系)のフィルター効果で、自分に関係ないと思われる情報をシャットアウトしていたのです。


ここから抜け出す道は、ただ一つ、現状のコンフォートゾーンから抜け出すことです。


そもそも、工事手順書は

「何のために」、「誰のために」作成しているのでしょうか?


この答えを見つけることが、彼らが彼らの現状から抜け出すための第1歩なのです。


苦労して作っている手順書があまり役に立っていない?

そもそも役に立っていない仕事の効率化をして何になるのでしょう?


彼らは、この事実に気づくことができました。




現状から脱出するために、一歩外へ歩き始めたから今まで気づかなかった事実を、事実として認識することができたのです。


カイゼンは、まず現状から脱出することがスタートです。


スコトーマが外れれば、スタートを切った途端に、もう折り返し地点に立ったようなものなのです。


これが、本当のカイゼンです。

これが、本当の仕事のやり方です。



これができれば、八百屋の親父のように、自分の仕事の成果を肌で感じることができるようになると思いませんか?



前回もご紹介しましたが、この問題を考えるに当たって、


八百屋の親父はお客さんと直接会話をして、お客さんが何を望んでいらっしゃるかをしっかりと把握しています。

そして、お客さんに満足してもらうために、希望に合った野菜を仕入れます。


八百屋の親父はその日に仕入れる時の自分の判断を、

お客さんが笑顔で買ってくれることで、成果として肌で感じることができます。


だから八百屋の親父はいつも元気なのです。


 

自分たちのやるべきことが腹に落ちた彼らは、早速手順書の改訂に取り掛かりました。


「手順書を改訂するとは言っても、どうすりゃいいんだ?」


その答えは、「何のために」、「誰のために」を考えることです。

そして彼らは、現場で働いている作業者の方々が自分たちの顧客だという結論に行きつきました。


「こうなったら、お客様の要望を聞くことから始めよう!」とリーダー全員にアンケートをして要望を吸い上げることになりました。


たくさんの意見が集まりました。それを整理して、50件ほどの改訂案がまとまりました。


集約した改訂案を、あるリーダーに協力してもらって、実際の手順書を見ながら確認していきました。


ここまでの活動で、具体的な案が整理できたので、時を移さず直近の製番でトライすることになりました。


彼らは、心手順書作成に全力で取り組んでいましたが、その最中に誰となく、

「手順書を改訂するために、要望書を出してもらい、我々が改訂する仕組みがあったはずだな?」

「あっ、そうだそうだ!」

「要望書なんかもらったことがなかったな。」・・・


というわけで、もともとこの手順書業務には、改訂する仕組みが埋め込まれていたことを思い出しました。


結局彼らのやってきたカイゼンは、「原点回帰」になったということでした。


今回の取り組みの中で、彼らの頭の中にはいろいろな出来事がありました。

手順書の作成者側が一歩的にやったことではなく、ユーザーを巻き込んだ活動になったことで、原点に帰ることができました。

また、お互いに役割を、見つめ直すきっかけになったことで、両者がこの仕組みを大切に運営していくことができると思います。


本当に、「何のために」、「誰のために」を考えることって大事ですね。










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