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続・ベクトル合わせ その後の展開「標準作業の確立」

更新日:2022年8月10日


品質が悪く、顧客から怒られっぱなしの部署でした。

あのままでは、顧客から本当に信頼を失ってしまうところでした。


それどころか、当事者の全員が自信を失ってしまったらと思うと、私は本気で心配していました。


最初に皆さんにお伝えしたのは、下記のブログの記事からです。


2021/9/10ブログ記事「ベクトル合わせ」 の中で私は、ある組織のベクトル合わせの事例を皆さんに紹介しました。


次に、活動が軌道に乗ってきた報告を下記のブログ記事でご紹介しました。


2022/4/17ブログ記事「ベクトル合わせ その後の展開」


活動の開始は、21/7/15のセッションからですから、1年足らずで今のレベルまで到達しました。


この活動は、部長の熱い想いを受けて、全員参加で展開してきました。


2021年7月15日に、部長が「このままではいけない。みんなで力を合わせて品質を向上させる!」

という強い意志を関係者の前で意思表示しました。


それを聞いていた関係者が、それまでの状況を反省して、部長の方針に賛同しました。


その場にいた人は「このままじゃいけない!」と強く、部長に共感しました。


この場に居合わせた私は、参加者全員の心の奥から、「このままじゃいけない!」という声を聞きました。


本当に、全員のベクトルがあった瞬間でした。


コレクティブエフィカシーが最高潮に高まった一瞬でした。


それから、具体的に「標準化」の活動が始まりました。


「標準化」の活動と言って、どこまでご理解いただけるかわかりませんが、地道な活動です。


リーダーは課長です。

しかし、課長一人では何もできません。


まず、部長の方針を係長とじっくりと話し合って、やるべきことを決めました。

係長も強い問題意識を持っていましたので、課長について行きました。


実際に行動を起こすと、この現場での経験の長い、係長は頼りになる人でした。


自分でもなんとかしたいと思っていましたが、なかなか的確な行動に出ることができないままでした。


やるべきことが決まったら、水を得た魚のように一心不乱に前に進んで行きました。


やるべきことは、「作業標準書」の仕組みを作ることです。他にやるべきこと、はありません。


「作業標準書」を作ることになったのですが、「作業標準書」の意義が全員の腹に落ちていませんでした。


そこで「作業標準書」に関して、作業者の人たちを集めて議論することになりました。


初めての議論では、

「作業標準書なんて、使ったことはない」

「自分のやり方でやっているけど、それで何が問題なの?」

「作業標準書よりも、チェックリストでチェックするだけで、精一杯」


などと、ネガティブな意見を書き留めるだけになってしまいました。


これは逆効果でした。

多少の失敗は、つきものです。


これもみんなの意見を真摯に把握するという姿勢からの失敗ですので、もう一度じっくり話し合えばみんな理解してくれるはずです。


ネガティブな意見はあっても、ベクトル合わせをしたセッションの時のように、

一つ二つポジティブな意見が出て来れば、そちらの議論に進むものです。



初めは、不本意なミーティングになってはしまいましたが、もう一度「作業標準書」の意義をリーダー自身が本当に理解して、それをまず説明します。


課長、係長、班長までは、よく理解できています。


初めにリーダーの意見を説明して、その後でみんなの意見を聞くように進め方を変えて、再度チャレンジしました。


濃淡はあれ、みんな同じような問題意識を持っていたのですから、それを引き出すことがこのミーティングの目的です。


前回の議論は、みんなが過去から現在に至る考えをぶつけ合っただけに終わってしまいました。


しかし、今回は違います。みんなの意見が変わってきました。

みんな未来志向になってきたのです。


今までのやり方の問題に気づき始めたのです。

みんな勝手にやっていたことに気づきました。


もちろん、みんな不良を出すつもりでやっていたわけではありませんが、とても品質を安定させることができるやり方ではなかったのです。


リーダーの熱意も、しっかり伝わりました。


その後、リーダーとスタッフが「作業標準書」を改訂して、改訂版ができる度に、みんなの意見を吸い上げました。


これを繰り返して、1機種分の「作業標準書」が完成しました。


それをトライしてみて、問題が見つかったら、さらに磨きをかけました。


こうして出来上がった第1版は、みんなで作り上げた「作業標準書」になりました。


この、みんなで作り上げた「作業標準書」ということが重要です。


リーダーが作って、それを作業者に渡して、「この通りやって」というだけでは、この通りやる人は、ほとんど出てきません。



今回のみんなで作り上げた「作業標準書」には、修正案を提案した作業者一人ひとりの想いが詰まっています。



次に、出来上がった「作業標準書」の理解度をテストしました。


学校の入学試験とは違って、ふるい落とすためではなく、理解できた項目とできなかった項目を明らかにして、それを完全に理解できるまで、全員が理解するためにやるテストです。


この趣旨は、事前にみんなによく説明しました。


そして、その結果理解できていなかった項目が明確になると、係長や班長がもう一度説明しました。


作業者全員が、「作業標準書」の内容を確実に理解できました。


その後にも、細かい問題に気がつくと、作業者から修正提案がてでくるようになりました。


それをもとに、「作業標準書」をカイゼンしてさらに磨きをかけました。


これが継続的カイゼンです。彼らの習慣になりました。


「作業標準書」が出来上がったら、新たなカイゼンを織り込んで、継続的に改定していくことがPDCAを回し続けるということです。


ここまで進めてくると、関係者全員に自信が生まれてきます。


作業者の目線で見てみますと、

  • 最初は何が始まるのかと、面倒臭い思いもありましたが、今まで自分のやっていた作業の手順や、動作が間違えやすいやり方だったことに気づきました。

  • 決まったやり方でやれば、不具合は起きないので、安心して仕事ができます。

  • 理解度テストでも自分の理解不足がわかり、繰り返して説明してもらったので、「作業標準書」を全て理解できたという自信がつきました。


係長や班長が本気でやってきたことが、確実に成果に現れています。


彼らは、今回の活動で自立した作業者を育成しました。


今までとは違って、製品をもっと良くするために新たに課題にチャレンジできるようになりました。



彼らはものづくりの最前線にいます。


この事業部では、製造が本来の仕事のやり方=王道を身につけました。


この活動を通して、リーダーは、本当のリーダーシップを学びました。


職場の課題を明確にして、それを全員と共有して、一つ一つ解決して行きました。

一人相撲ではありませんでした。確実に関係者全員をステップアップさせました。


リーダーは、卒業です。

彼には新しい課題が待っています。


外注メーカーの品質問題をカイゼンする場合でも、今回の製造部署が歩いてきた道を、外注メーカーさんにも理解してもらい、同じように品質問題のない世界を作っていけば良いのです。


品質保証部署でもベストプラクティスを間近にみていますから、それを横展(水平展開)するだけです。


こうやって、強い製造がでんと座っていると、その会社の組織力が向上して行きます。


「僕の仕事は標準化なんてできるわけない!」「一回一回違うことやる、単純な仕事ではない!」


ここまで読んでいただいた方には、もうこのような考えをお持ちの方はいらっしゃらないと思いますが、

念の為。


確かにそのような仕事もあるでしょう。

でも、あなたの仕事にミスやムダは皆無ですか?


どうやったら、うまくできるか真剣に追求していくことがカイゼンです。


あなたもカイゼンをして、達成感を味わってみましょう!


カイゼンは楽しい!

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