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ヒトの感情とホメオスタシスの密接な関係


私たちは、体温を一定に保ったり、自分が居たくない場所にいるときに、その場に居たくなくなると言ったことを経験しています。


風邪をひいて、体温が上がってしまった時、人は体温を下げるために汗をかきます。


風邪をひかないまでも、春から夏に向かって、急に夏のような気温になった時などにも、体温を一定に保つために、人は汗をかいて体温調整をするようにできています。


汗をかくことを何者かが促します。


また、自分が普段馴染んでいる場所から遠く離れた、高級ホテルなどに入った時、


「落ち着かないな、ここは?」


「ここにいる人たちは、いつも親しんでいる人たちと人種が違う。」


「窮屈だ。こんなところに長居は無用だ。」


早々にその場所を離れることを、何者かが促します。




こんな経験をされた方は数多くいらっしゃると思います。


実は、私もこの種の人間ですからよくわかります。


汗をかく時には、「暑い。」という感情が体を駆け巡っています。


自分では場違いだと思う場所にいる時にも、「こんなところには、長く居たくない。」というソワソワしたような、感情が身体中を駆け巡ります。


この二つの例を見てみると、


感情は、体内の生命プロセスが順調に機能しているかどうかを、

言葉を用いずに、常時私たちに伝達する、役割を持っている


ということが言えるのではないでしょうか。




感情は、ある瞬間のヒトの生命活動の状態から発生して、その生命活動の状態が、自分の幸福や繁栄につながるのかどうかを、評価してヒトに伝えているのです。


何があっても生存して、未来に向かおうとする生存本能というべき欲求は、ヒトの思考や意思をとは別のところに存在します。


この欲求を実現するために必要な、生命活動のプロセスの集合を、ホメオスタシスと呼びます。


ホメオスタシスの各プロセスは、それぞれが連携しながら作用して、この生存本能を実現しています。


物質は放っておくと、無秩序な状態に戻ろうとします。


これに対しホメオスタシスは、安定した状態で、秩序を維持しようとします。


ヒトが太古からの非常に長い過程を通じて、遺伝的な選択によって、今日を迎えていることは、ホメオスタシスに依るところが大きいのだと思います。


その歴史がヒトの感情と文化的、創造的な心というものを形成して来ました。



現代では、古来からヒトが培ってきた、文化や、道具を使うことなどが、私たちの生命活動のプロセスから切り離される傾向があります。


しかし文化を形成して来た事実を、感情や、ホメオスタシスや、遺伝に結びつけて捉えておくことが重要です。


文化や、道具が生命活動から引き離される傾向から、私たちを守るためには、文化、感情、ホメオスタシスと遺伝を結びつけて理解しておくことが有効ではないかと思います。


文化は、人間の行動が自律的で文化的な行動から形成されたという一つの見方があります。


それに対して、遺伝によって受け継がれる自然選択の結果として形成されたと、とらえる見方もあります。


両者の見解は、対立することがよくありますが、双方ともに文化の形成に影響を与えていると思います。


感情は、生体内の生命活動の状態を、ヒトの心に伝える手段です。この感情は正から負つまり、ポジティブとネガティブで表すことが出来ます。


ホメオスタシスの不備によって起こる感情は、ネガティブな感情で表現されます。


これに対して、ポジティブな感情とは、ホメオスタシスが適切に保たれていることを示します。


感情とホメオスタシスは、一貫して密接に連携しています。


感情は、心と意識的を持っているヒト以外の生物も同様に、生命活動の状態に関する情報を伝えています。


感情とは、ホメオスタシスの心的な現象であると、

考えることができるのではないでしょうか。

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