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コミュニケーションで信頼関係を築く極意を教えます。


この記事もご参考にしてください。



幼児はかなり早い段階から、いろいろなことを理解しています。


例えば、犬と猫の区別です。


言葉が使えるようになれば、脳の中で考えてることが外部に出てきますから、「ワンちゃん」「ニャオ」

などと、鳴き声のイメージで記憶していることを、幼児は答えてくれます。


例えば、あなたが「犬と猫の違いを述べよ」と問われたら、どう答えますか?

述べよというのは、言葉で答えなさいということです。


私は、少し頭の中でぐるぐると回してみましたが、とても言葉で説明できません。


しかし、大抵の場合、犬と猫を前にして、「これは、犬ですか猫ですか?」と問われれば、自信を持って答えられます。


わたしたちは、経験的に得た知識を活用して、その知識と「犬」「猫」という言葉を照合するというプロセスを経て、知識の中から答えを発見しています。


このような方法で、物事を理解できるのは、人間にゲシュタルト能力があるからできることなのです。


ゲシュタルトとは、ばらばらに存在する情報を統合して、新たな価値や概念を生み出すことです。


残念ながら交通事故に遭って、三本脚になってしまった犬を見ても、犬だとわかります。


これも、わたしたちが経験的に得た知識を活用して、その知識と「犬」という言葉を照合していますが、「犬は4本脚」と決めつけずに、その他の情報と照合している結果出てきた答えなのです。


このような認識方法を、心理学では、ヒューリスティックという言葉で表現します。


もともと人間のやっていることは、すべてヒューリスティックだと言っても過言ではありません。


この理解の仕方は、バラバラな情報を統合する、ゲシュタルト能力があるからできることなのです。


このヒューリスティックに理解する私たちの思考方法を、逆手にとって、心地よい言葉を仕掛けてくる心理学を使った、マーケティング手法があります。


  1. 短期間のセール期間を設定して、「今買わないと損をするぞ」と思わせる

  2. あえて価格を高めに設定して、高品質な商品だというイメージを抱かせる

  3. SNS上のインフルエンサーなどのメッセージを使い、商品のイメージアップを図る

  4. 商品のラベルなどを、良い印象を持たれるようなワードやデザインにする


私は、個人的にあまり、マーケティングの言葉を信じていませんので、普段は避けているつもりですが、上記2のように高品質を価格設定で主張されると、相手の思う壺にはまってしまいそうです。

 


少し話は変わりますが、組織の課題をメンバーで共有して、目標を達成するときに必要な課題の共有を、みなさんはどうやっていますか?


相手の無意識に訴える、コミュニケーションの方法を

一緒に考えてみたいと思います。


ものづくりの工作機械製造課を例にして、一緒に考えてみたいと思います。

(もちろん架空の組織です。)


会社全体の課題、製造部の課題から、工作機械製造課とのつながりをしっかりと確認して、自分の受け持つ役割から、何をやるべきかを決めます。


例えば、全社が期待している工作機械製造課の新製品が、上半期の半ばの7月から立ち上がる計画になっています。


この製品は、会社全体の収益を左右するとみられていて、新製品の立ち上がりはミスが許されません。


2月から3月に立案した利益計画では、初期流動期間を2週間、その後稼働率98%で折り込まれています。


この計画を策定したときにも、上司の製造部長と工作機械製造課長は、何度も打ち合わせを行ないました。


その結果、「現行品の立ち上がり時のトラブルを2度と繰り返さない」という反省を織り込んだ計画を策定しました。


 

Cast(仮名):工作機械製造課長:赤井、組立課長:永井


前回の立ち上がりでは、組み立てラインの作業訓練が不十分で、約1ヶ月初期トラブルが続いてしまいました。


そのトラブルの原因を確実に分析して、問題を再発させないことが、今期の工作機械製造課がやるべきことです。


作業訓練が不十分だったのは、直前まで直前まで組立課では、高負荷が続いたとはいえ、切替時の人員計画が的確に立案されていなかったことが、最大の原因だと赤井課長は見ていました。


今日は、永井係長との上半期の課題検討ミーティングをすることになっています。


赤井課長は、打ち合わせ場所の工程事務所の会議室へ、5分早めに着いて席に着いて待っていました。


別に長い係長にプレッシャーをかけるつもりはありませんが、相手より遅くいくより早めに言って待っていた方が、こちらのペースが掴めると思ったからです。


永井係長は、5分遅れて入って来て、「課長、すみません、工程でちょっとトラブルがあって遅れました。」


「構わないよ、まあ座ってくれ。」「また、B班で何かあったな?

「課長、なんでわかるんです?」


「うん、2年前の時もそうだったからね。B班の作業訓練の出来がイマイチだったね。」


「課長、そうなんですよ、実はトラブルでなくて、班長とその話をしていたんですよ、遅れてしまったのは」


 

ここまでで、勘のよい方はお分かりになったかもしれません。


赤井課長は、一瞬で長い係長の気持ちを掴んでしまいましたね。


永井係長も、このミーティングはどういう目的で行うものかということをわかっていましたので、ミーティングが始まる前に、B班の班長と立ち話をしていて遅くなってしまったようです。


なぜ、直前にB班の班長と話をしたのか、長い係長は前回の立ち上がりの失敗を思い出していたのです。


事務所に戻る途中に出会った、B班の班長の顔を見て、永井係長はそのことを思い出しました。


普段ならそのまま通り過ぎるのに、何か話をしておかなければいけないという、感覚が無意識に芽生えたのです。


気がついたら、もう時間が過ぎていて、慌てて事務所に駆け込んだら、赤井課長がすでに待ち兼ねていました。


先に待っていたことは、ここではあまり大きな意味がありませんが、逆だったらこちらが冷静に対応できていたでしょうか?


そして、開口一番「うん、2年前の時もそうだったからね。B班の作業訓練の出来がイマイチだったね。」と、自分が無意識で心配していたことを、先に言われてしまったのです。


『あっそうだった。意識しなかったけど、なぜか班長と話をせずには、通り過ぎることができなかった』という状況でした。


永井係長は、「課長、そうなんですよ、実はトラブルでなくて、班長とその話をしていたんですよ、遅れてしまったのは」と言った後、『課長はお見通しだ』と感心するとともに、

課長に対する信頼感が増して来ました。


この信頼感を、ラポール(心理的連帯感)と言います。


この事例で使った、相手にラポールを起こす手法を、少し解説いたします。


相手が無意識で考えていることを、先に言葉にすることで、相手と臨場感を共有するということなのです。


大事なのは、相手の臨場感に入るのではなく、自分の臨場感の世界に相手を引きずりこむことです。

それが相手の無意識を操作できるということになるのです。


相手を自分の臨場感の世界に引きずりこむためには、その人の臨場感の世界に対して記述をすればいいのです。


この事例では、永井係長は(B班の過去のトラブルに対して)何かむずむず心配な気持ちが起きていました。無意識ですから自分の意識に上がっていない状態です。


相手の意識している空間は、意識されているがゆえに操作できません。無意識の空間だからこそ、操作できるのです。


基木は、相手の臨場感と自分の臨場感が同調するまで自分の視点を下げて、その臨場感を共有して、その共有された臨場感の空間に書きこんでやる、ということです。


この事例は、かなり高度な事例でした。あなたが実際に試してみるときは、相手の体の状態に対する言葉をかける(記述をする)と良いでしょう。


自分の感じているリアリティに対して相手からコメントされてしまうと、もうリアリティではなくなります。


相手は、自分がまさに椅子に座っているときに「椅子の感触を感じていますね」と言われた瞬間に、お尻の感触は感じているからリアリティなのです。


しかし、自分が梳子に座っていることは、話し手の掛けた言葉が介入した世界のことになってしまって、もうリアリティではなくなってしまいます。


揺らいだリアリティ(Reality)、“アールダッシュ”なのです。Rを揺るがせるのです。 (認知科学の専門用語です)


相手にとっては違和感のない世界です。

「ここにパソコンがあって、机があって、パソコンのファンの音が聞こえていて、エアコンの音が聞こえていて」という記述をしていくだけです。


これだけでも十分です。

すると、相手はもうRにいなくなります。(相手の心は、物理空間に居なくなります)


自分の物理空間を言葉にされてしまうだけで、もう物理空間にいなくなるのです。それは相手に記述された空間になってしまいます。


相手が気づいていないものであればあるほど効果的です。


そうして相手の臨場感世界に引きずりこまれると、その臨場感世界を支配する相手にラポール、つまり好意が生まれてしまうのです。


誘拐犯を人質が好きになってしまう現象、いわゆるストックホルム症候群も、臨場感世界、つまり生存にかかわるような強いホメオスタシス空間を犯人が支配しているから起きるのです。

人間はそうできているのです。 これが情報的な同調です。


勝負は、視点を上げた状態へ脳を持っていく時間と、その視点から見渡せる情報空間の広さ、ということになります。

相手より高い視点で、相手より広い情報空間を、一気に俯瞰する。そこが勝負です。それができるかできないかで決まります。

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