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「見えていない画像が脳内でいかに処理されているのか」議論の歴史

更新日:2022年5月29日

(認知科学)コーチングでは、無意識を書き換えることがゴール達成の有力な手段です。

私は「意識の研究」を勉強することによって、無意識の書き換えの方法などのコーチング理論に加えて、私なりのやり方を考えていきたいと思っています。


この一連のブログ記事は、私の勉強ノートです。

 

1990年代までは、「見えていない画像が脳内でいかに処理されているのか」

をめぐって依然として非常に大きな混乱が見られ、さまざまな説が飛び交っていました。



1 もっとも単純な説は、皮質には意識が備わっているが、それ以外の神経回路には備わっていないというものでした。

(皮質:二つの大脳半球の表面のニューロンで構成される折りたたまれたシート)


哺乳類の脳でも、もっとも進化した部位である皮質は、注意、計画、発話などの基盤をなす高度な作用を司っています。

皮質に到達した情報がすべて意識されると考えるのは、ごく自然な見方と言えます。


無意識の作用は、扁桃体や丘などの特殊化した脳核の組織内のみで生じる


扁桃体や丘は恐怖を引き起こす刺激の検出や、目の動きのような機能を果たすべく進化してきました。これらのニューロンのグループは、皮質の下に存在するので「皮質下の回路」と呼ばれる構造を形成します。


3 言語回路を備えていて、自身の働きを報告できる左半球は意識を持つが、右半球は持たないという二項分割の考え方「皮質の神経回路には意識を備えているものといないものがある」という考え方です。


4 腹側経路を通って脳内を伝達される視覚情報はすべて意識されます。

一方、頭頂皮質を経由し、物体の形状や位置によって行動を導く背側経路を通って伝達される情報は、永久に無意識に留まるというものです。


3、4の単純な二分説も、検証に耐えませんでした。


最新の知見では、脳のあらゆる領域が、意識、無意識双方の思考に関与しています。


この結論に達するには、巧妙な実験によって無意識の守備範囲についての理解を徐々に深めていく必要があったのです。


脳に損傷を負った患者を対象に行なわれた単純な実験では、無意識の作用が、皮質下の脳の基底部に宿ることがわかりました。


たとえば扁桃体は、恐れのコード化に必須の組織で、ヘビを見たなどの脅威を引き起こす刺激が、網膜から高速伝達路を通って伝えられると、皮質の意識的なレベルで情動がとらえられる前に活性化します。


多くの実験が示すところでは、その種の情動の評価は、扁桃体にある高速神経回路の仲介により、無意識のうちに迅速に行なわれます。


ヘビの話はコーチングでも取り上げられます。

「扁桃体は一般的には情動、つまり感情を司るところだと言われていますが、正確には古い感情のみを司っています。古い感情とは、いわゆる本能的な感情です。自身の生命の危機にかかわる、あるいは自身の欲望を満たす感情が、扁桃体にあるのです。」            『すごいリーダーは「脳」がちがう』(苫米地英人 著)より


スイスの神経学者エドゥアール・クラパレードは1900年代の初期に、実証した事例があります。


彼は、健忘症患者の手を握る際、ピンで軽く刺しました。

翌日、この患者は彼をまったく覚えていなかったが、彼の手を握ることを断固として拒否しました。

この実験は、情動作用が気づきのレベルの外で働き、つねに情動処理に特化した、

皮質下の神経核から生じることを示す最初の証拠でした。

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