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「抽象度」と「上位概念」

更新日:2022年5月29日

決まり文句のように、「抽象度を上げよう!」は、そろそろ卒業するべきだと考えていました。

そこへ、4月21日に美濃 三環子コーチのツイートを見掛けて賛同しました。


Twitterだけですと誤解を受けそうな内容ですので、このブログ上で少し説明させてください。


美濃 三環子コーチのツイート

「コーチングの肝となる概念、抽象度。私たちは抽象度を上げることばかりに意識を向けがちですが、大事なのは意図的に抽象度を〇〇すること!教科書的な学びのみだと見落としがちな重要ポイント!ぜひお聴きくださいませ」


私は、カイゼンでも「上位概念」という言葉で、以前から説明していました。



例えば、物理空間=ものづくりで、「常に一つひとつ順番にやることで、やり残しを防ぐことができる」という一つの知見があります。


カイゼン事例報告では、「作業の順番を決めて、標準所に落とし込みました」という報告になります。


これをいかに抽象化して、上位概念で見て、「成功要因をしっかりと把握して、自分のことに置き換えることができるかが大事です。


それを設計者=情報空間の存在、に伝えても、「私の仕事はそんな単純なものではありません。(馬鹿にしないでよ!)」と返ってきます。


でも、実態を聞いてみると、「図面を書く順番なんか考えた事もありません」

「騙されたと思って、順番を決めてみて」とお願いしました。



数日後に聞いてみると、

「途中で電話に出て、話をした後、『さてどこまでやっていたっけ?』と考えることから再開していましたが、作図の順番を考えて、終わったところをマーキングする習慣をつけたら、結構効率的に進むことがわかったので、もう習慣にしています。」

とこんな回答が返ってきます。


結果的に、設計者が上位概念を理解したことになりますが、抽象度を上げて物を見るということは、こういうことだと思います。


私は「抽象度を上げましょう」という決まり文句だけでなく、


「時には抽象度を下げて、相手のその時の目線と同じくらいのレベルで説明できることも大切ですよ」と言っているのです。


彼女とは詳細な議論はしていませんが、美濃 三環子コーチも同じようなお考えではないかと思っています。



 

苫米地博士の書籍には、「抽象度」をいろいろな角度で説明されていますので、いくつか共有させていただきます。


抽象度とは、簡単にいうと「情報空間における視点の高さ」のことです。「次元の高さ」と言い換えてもいいでしょう。 情報空間とは、私たちの脳や心に存在するさまざまな概念が作っている空間です。『頭が10倍よくなる超睡眠脳の作り方』(苫米地英人 著)より


 

より抽象度が高く、視野の広い見方をしたときに、究極のところ、人間は幸せになればいいわけで、幸せになる1番単純な方法は、苦しみがなくなることです。人間の苦しみとは、釈迦のいう避けることのできない4種の苦悩「生老病死」と言えます。  これらすべては、ファンクションが生み出した幻だとわかったとき、その瞬間に生老病死の苦しみは消えてしまいます。『Dr.苫米地の「脳力」の使い方』(苫米地英人 著)


 

これは人類が最初から持っている能力です。  ですから、どうやってコントロールするかを考える必要はありません。抽象度を上げることができて、そこから内省的に吟味ができれば、勝手に自己の制約の中におけます。『脳と心の洗い方 Forest2545新書』(苫米地英人 著)より


 

関連性のないものを集めて関連性を見出す作業というのは、抽象度の階段を上がらないとできません。この抽象度の階段を上がるという作業は、今のところ、人間にしかできないことのようです。 『認知科学への招待』(苫米地英人 著)より


 

自分は自由だと思えても、一つ上の抽象度から見れば、その階層の人々に束縛されています。しかし、自分はそれが見えません。同じ階層であれば、自分への束縛が見えるので、そこから解放する方法を考えることができるでしょう。しかし、一つ上の階層によって束縛されている場合は、脱出方法どころか、束縛されていることすらわからないのです。『すごいリーダーは「脳」がちがう』(苫米地英人 著)より


 

大量の知識を得ると、人間の思考の抽象度が一段上がる瞬間が訪れます。  スポーツや勉強でもそうです。夢中でたくさん練習や学習を積むと、ある時いきなり〝パンッ〟とレベルが上がります。『いい習慣が脳を変える 健康・仕事・お金・IQ すべて手に入る!』(苫米地 英人 著)より


 

私は彼に「〝私は〟と言っている限り幸せにはなれないよ」と言いました。自分という殻に閉じこもっていては本当の夢や幸せにはたどり着けません。幸せというのは抽象度の高い感覚なので、広い視野で物事を見ないといけないのです。「夢」や「幸せ」や「満足感」といったものは抽象思考をすることで大きくすることが可能です。『自分を大きく変える偉人たち、100の言葉 Dr.苫米地式名言活用術 TAC出版』(苫米地 英人 著)より


 

カール・マルクスは、資本主義のシステムを検証し、その問題点を暴いたうえで、新しい経済システムとして共産主義を生み出しました(ただ、共産主義はマルクスの頭の中でのみ完成し、現実世界においては共産主義国の政治家たちがマルクスのレベルまで抽象度を上げることができなかったため、結局、破綻してしまいましたが)。『超ネット社会の成功術』(苫米地英人 著)より


 

抽象度とは、コーチングの世界では根幹をなすと言って良いほどの基本的な概念です。


現時点では、抽象度の高い思考は人類だけができる行為なのです。

製品開発でも、たくさんの有用な情報を集めて、抽象度の階段を登りながらそれを統合していき、製品のコンセプトを創ることが開発プロジェクトリーダーの一番大きな役割です。

ここで、統合する能力のことを「ゲシュタルト」と言っています。


他のブログでも何度も書いていますが、ゲシュタルト能力を涵養することはプロジェクトリーダーの基本的な資質につながります。


そして、そのコンセプトを確実に製品にして。お客様が(質・量・コストで)満足してくれたところまで見届けるのが、プロジェクトリーダーの役割です。


これからプロジェクトを立ち上げようとしている皆さんに、

これからも繰り返してこのメッセージを送りますので、一緒に課題を達成して行きましょう。





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