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「カイゼンの力」をタイムリーに生かして、生産性3倍増を達成!①

更新日:2023年4月24日

EVのインフラ関連の製品を設計・生産するEVシステム部(仮称)のお話です。


製品を開発して、今年は10年目になります。

最近はテスラを始め、中国EVメーカーに引っ張られる形で、日本でもEV需要が伸びてきました。


この10年を振り返ると、スタートして3年目にまとまった需要があったのですが、その後は現在までずっと低迷状態で、不振な状態が続いていました。



しかしここに来て良いニュースが飛び込んできたのです。


これまでも継続して受注している顧客会社から大口の受注が入り、今まで我慢して続けてきたことがやっと報われるのではないかと、部長はじめ全員が胸を撫で下ろしているところです。


さあ、安心している暇はありません。


1年後に現状の3倍の生産に対応しなければならないのです。


スタート3年目には大口需要がありました。


それに対しては人海戦術でなんとか乗り切ったのですが、残念ながら利益を上げることには繋がりませんでした。


EVシステム部(仮称)では、3年前からトヨタ生産方式=TPSを導入して、カイゼン活動を勉強してきました。


リードタイムの短縮、在庫低減、アウトソース(生産委託)会社の現場のムダとりなど、一定の効果は上げてきましたが、生産台数が少ないため、大きな効果にはなっていませんでした。


このような大事な時に、組織が一丸になって課題を解決するためには、どうしたら良いでしょう。


コーチングの視点から見ると、下記の2つのポイントが重要です。

  1. まずリーダーがレベルの高いゴールを設定。

  2. チーム全員がそれを達成できると思う。


 

ポイント1


EVシステム部長は、今回3倍の生産という好機を生かして、


「現有勢力で、生産能力を3倍にして、利益を刈り取ろう」

という方針を部下に投げかけました。


生産性3倍増に挑戦です。




「わかりました!部長、是非やりましょう!」と各メンバーが即答!


この方針は、達成が簡単なものはありませんが、これまで逆境に耐えてきたメンバーからは、すかさず賛成の声が上がりました。一言も異論が出ませんでした。


「やらねばならない」というhave toではなく、まさにWant toで、今までの逆境を跳ね返そうという方向性が、全員の意思で即決しました。


上司に押し付けられた課題をやるのではなく、自らがやりたいと思ったことをやる時に、人は最高のパフォーマンスを発揮することができます。


組織のコーチングでは一人ではありませんから、ゴールを全員で共有することで、高いコンフォート・ゾーンが共有され、ラポール(心理的連帯感)が生まれます。


この職場では、年間400台ベースの生産が自分たちが馴染んだ仕事のペース。つまりコンフォートゾーンとなっていました。


しかし、現状の3倍の1200台の仕事のペースの世界にになるということを、全員が想像(映像、言語、非言語)して新たな高いコンフォートゾーンに身を置くということになります。


そうすることで、心の中で今とは違った充実感を先取りすることができるのです。


それに加えて、「この課題を皆で乗り切るのだ」という個人個人の感覚が、連帯感を生みます。これをラポールと言います。


組織のリーダーは、コアーシブに上から押し付けるのではなく、皆が思っていることをビジュアルに説明して、共感を得ることで、ラポールをつくり出すことが大切です。


EVシステム部長は、自らもそうですが、組織の一人ひとりの中に「もっと作りたい」という気持ちを感じていました。


このEVシステム部に限らず、組織の中にはこのようなイマジネーション(思い)が内包されています。組織のリーダーは、組織全体の進むべき方向に関するイメージで、個々人のイメージを包摂するビジョンを抽出することが重要なのです。


人は、コンフォート・ゾーンでリアルな臨場感を持った状態を共有すると、仲間意識が芽生え、仲良くなるようにできているのです。

EVシステム部の現場では、全員の思いが熟成されていた状態でしたので、部長の一言でラポールが生まれました。



しかし、組織の状態によってはこのようなやり方ではなくでも良いでしょう。


「部長はメンバーの想いをなんでも受け止めるよ」というスタンスを示して、


メンバー主導でディスカッション(ワイガヤ)などしながら、共有する方法もあります。






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