皆さん聞いてください。
15年にわたる私のゴルフクラブとの戦い、、ゴルフクラブから受けた調教?
2018年のスコットランドは、ターンベリーで締めくくった。
8月15日にAilsa チャンピオンコース、16日はグラスゴー15:20発のヒースロウ行きに間に合うように早朝7:32分にティタイムをセットしてもらった。
コースの名は、”King Robert The Bruce” チャンピオンコースと引けを取らないタフなコースである。
途中でコースを間違えたりしないようにキャディを雇った。
キャディの名はフランク。コースから歩いて5分のところに住んでいる。
子供の頃からこの近くの住人で、10年前くらいから今のところに移った。スコットランド人特有の人懐っこさを持った典型的な地元民だった。
丘の上のホテルでグルテンフリーのイングリッシュブレックファーストを食べて、ロッジ戻って顔を洗ってから1番コースに向かう。今日も風が強い。
昨日のスタートの時も、チャンピオンコースのスターターが「アゲンストの時はプラス3番手、フォローの時はマイナス3番手」と言っていた。
少しオーバーな言い方だなと思ったが、途中で彼が正しかったことを思い知らされることになった。今日は昨日よりもさらに強い風だ。
フランクと挨拶を交わして、ティショットを打つ。
朝の始めはこの緊張がある。
「悶絶またの名を絶滅危惧種のゴルフクラブ」にしてから8年、かなり当たるようになって来てはいるが、スタート時には未だに確信が持てていない。今朝は幸いにして無難なスタートを切った。
スタートは良かったが、2打目をラフに入れてしまい、そこから次のホールをホールアウトするまで、良いあたりにならなかった。
フランクは最初から少し妙な雰囲気だった。何かを私に言おうとしているが、遠慮しているような感じがする。
やはり私の乱調を目にして、遠慮してたようだ。
3ホール目から私の当たりが戻って来て、なごましい雰囲気になって来た。
すると、フランクが私のドライバーを左右に振ってシャフトの柔らかさを確認して、ニコニコ笑いながら、
「こんなクラブ初めて見ました。あなたが作ったんですか?」
「いや、クラフトマンに作ってもらったんだ。ものすごく柔らかいでしょっ?」
それから良い当たりが多くなって来て、自分でも気持ちのいい思いをしながら楽しいラウンドとなった。
物凄いアゲンストの中でも吹け上がらずに、グリーンに向かっていく。
やはり「悶絶」にして良かった。
しかしちょっと気をぬくと体が先に開いてしまい、擦り玉が強烈なアゲンストで強調される。
私の当たりが良くなってくると、フランクは「エクセレント!パーフェクト!」と褒めてくれる。
私も調子に乗って、ハミングバードで教えてもらった、『グリップを止めずに、グリップから動かす』という事をジェスチャを加えて講釈する。
「ヘッドに仕事をさせている。」と彼は言ってくれた。
これは私のとって最高の褒め言葉だ。
フランクはとうとう我慢できなくなったらしく。「ちょっと私にもパットをさせてください。ボールを貸して。」と言ってパターを試している。
ニコニコ笑いながら、首を振って「こんなの初めてだ。」を繰り返している。
ホールアウトして、握手をして時計を見ると、9:49だった。何と2時間と7分で18ホールを回ったとこになる。
「私も20年キャディをやっているが、こんなに早いのは初めてだ。あなたは素振りもしないから、ものすごく早い。ターンベリー”King Robert The Bruce”の記録だよ。」と個人的に認定してくれた。
クラブハウスに戻ると、フランクはレセプションの仲間に声を掛けて、「今日は珍しいものをみたよ。
「これを見てくれ。」と私のパターを仲間に見せている。
すると中の1人が「ちょっと試させてください。」とカーペットの上でパターを使って「何だこれ?」と笑っている。
するともう1人奥から出て来て、ニコニコ笑っている。
途端にレセプションは笑い声でいっぱいになった。
この後「悶絶」はフランクや彼らの友達の間でしばらく話題になる事だろう。
「この間クレイジーな日本人が来てね。そいつの持っていたクラブが信じられないくらい、ヘニャヘニャシャフトなんだ。」
「驚いたねー。」
「あんなの初めてだよ。そいつが言ってたんだが、そのクラブを使えるようになるまで8年もかかったそうだ。Crazy Japanese Guy!」
「またそいつのプレイが速いのなんのって、スタンスをとって後ろを向いたと思ったらもう打っている。早朝で誰もいなかったのもあるが、2時間と7分で18ホールを回ってしまったんだ。」
こうして2018年のスコットランド西海岸の旅は終わった。
ちなみに、前々日のプレストウィックでもキャディを雇った。彼も興味深そうにクラブをこねくり回していたが、何も言わなかった。全ての人が同じような反応を示すわけではない事を記しておきます。
彼らは間違いなく奇妙な体験をした。
もちろん、この話はキャディだけの内輪話で、オーナーのMR TRUMPには伝わるはずもない。
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