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(続) キャデイさんを人事ローレーションする 会社経営の手法


仕事柄、私はクライアントの会社で、「あなたの部では、人材育成の仕組みはありますか?」という質問をよく投げかけることがあります。


「お恥ずかしいですが、うちはOJTしかやれていません。」という返事が返ってくることが殆どです。


さらに突っ込んで聞いてみると、殆どが「これやっといて」と、一方的に課題を投げかけるだけです。


本来OJT(On the Job Traning)は、育成すべき人材像が整理してあって、項目ごとの達成度を一つ一つ計画的に、丁寧に教えた後で訓練するという方法が基本です。


教育と訓練です。


育成すべき人材像を整理というのは、必要なスキル要件の項目が整理できていることが前提です。


人材要件が細分化されて整理できているから、

育成度合いを評価することができるのです。


ひどい場合には、フォローもせずに放っておいて、「今の若いやつは・・・」という決まり文句が出てきます。


これでは教わる方があまりにも哀れです。


こういう組織のその後の状況で、よくあることです。


「若手が習熟しないから、またミスをしでかした!」

「若手メンバーのスキルが足りないので、ミスが多くて困っている!」


この問題をなぜなぜ分析してみると、10中8、9こんな原因になります。


なぜミスを犯したのか?

(若手の)担当者の知識が足りなかったから。

なぜ、担当者の知識が足りなかったのか?

(若手の)担当者への教育が足りなかったから。

なぜ、担当者への教育が足りなかったのか?

(若手の)担当者へのOJT教育で済ませていたから。(なに??)

どういうOJT教育をしていたのか?

・・・・・・・・・・・(回答なし)


これは、笑い話などではなく、かなり頻繁に出会う現実なのです。


なぜ、ミスが起きたのか?・・・真因は、肝心な知識を教えていなかったから


 

(前編の抜粋)


太平洋クラブでは、毎年新卒の学生を定期的に採用しています。


今年も4月から新入社員が入社して、私が頻繁に通っている、八千代コースにも研修生が入っていて、時々私の組にも先輩の教官と一緒に研修生がつくことがあります。

7月にもなると、研修生もかなりレベルが上がってきていて、教官が何も指示せずに背後で評価だけしている光景を見ることもあります。


キャディさんは、プレイヤーがミスをして落ち込んでいる時に、一緒になって陰気になってもらったのでは困ります。


パットのラインを正確に読んでくれるより、ボールの行方をしっかりしっかり見ていて貰えるより、私はプレーヤーの気持ちを前向きにしてくれるようなキャディさんが望ましいと思っています。


OJTでの研修が功を奏してか、私の評価基準で見て、レベルの高い方が揃っているようです。


7月の中旬のある日、よく一緒に同伴させていただくメンバーの方々と一緒にラウンドしていた時に、ティーグラウンドでの雑談が始まりました。


こういう時には、研修生が話題になることが常ですが、この時も、例外にもれず、「小林さん(仮名)は、どこの出身なの?」とメンバーの一人が訪ねました。女性の研修生です。


「関西です。」

「親元を離れて、寂しいでしょう?」


「それが、今週末に私の父が八千代にプレイしに来るんです。」

「父兄参観か、緊張するね。」


などという会話の後に、

「関西の出身なのに、千葉のゴルフ場の仕事では、たびたび実家に帰ることもできないね。」と誰かが同情の言葉をかけました。


すると、教官から

「彼女は総合職で採用されたので、千葉に留まると決まっているわけでは無いのです。」という言葉が聞こえました。


この言葉に私は少し興味を持ちました。

「太平洋クラブも意外と人事制度がしっかりしてきたんだな」と感心しました。


10年以上前に、御殿場コースなどでは、地元の主婦の方がパートタイムでキャディを勤めたいたという記憶しかありませんでしたので、人事ローレーションなどの制度は、彼女らには歓迎されなかったと思います。


(御殿場コースには、私の所属していた会社の従業員の奥さんが、数名居られました。)

 

8月17日(水)、私は今日も残暑厳しい中、大好きなゴルフに出かけていきました。


同伴者の一人は、八千代コースで顔見知りになった気の合うゴルファーです。その他のお二人は、仲の良いご夫婦でした。


今日は素晴らしいゴルフ仲間と一緒に、飛び切り楽しいゴルフをエンジョイさせていただきました。


なんと、今日帯同してくれたキャディさんが、1ヶ月前の研修生、今は立派に成長した小林さんでした。


私が小林さんの研修の終了の日に同伴させてもらったのは、7月14日(木)。早いもので、もう1ヶ月になります。


あの後に小林さんは、支配人直々の(見極め)テストがあり、彼女は一発合格を果たしました。

そして、1週間前からプロのキャディとしてデビューしました。


朝の挨拶(説明)も、立板に水の如くきちんとこなしていました。


同伴の方も、「漏れなく、完璧に説明してくれたね。」と評価されていました。


メンバーの方は、毎回同じ説明を聞いていますので、多くの方の評価はかなり厳しいのですが、本当に卒なくこなしていました。


ホールごとの説明も確実に的確にしてくれました。

パットのラインも、うまくアドバイスしてくれました。


ベテランの方に比べれば、まだ足りない部分もあるかと思いますが、あとは経験が深めてくれるはずです。


 

(私は、客としてキャディさんのパフォーマンス(結果)を見ているだけですので、それ以上の情報を持っているわけではありません。)


冒頭で、OJTについて触れましたが、

OJTはただ、課題を与えれば良いというものではありません。


また、新人を時間をかけて育成すべきだと言っているわけでもありませんので、誤解の無きようお願いいたします。

  1. どんな人材になって欲しいか、具体的な要件項目に落とし込んで、それを教育する

  2. 項目ごとの達成レベルを明確にする

  3. その内容を研修生の頭に中に、知識(情報)としてインプットする

  4. 頭の中に蓄積した知識(情報)を実際に活用できるまで、訓練する(教育。訓練)

  5. その仕事を教える能力のある人が教える


「その仕事を教える能力のある人が教える」は見落としがちなので、少し説明します。


できるレベルと教えるレベルは違います。


できるレベルだけで、教えるレベルのない人が教えていたのが、昔の「俺の背中を見ろ」です。

徒弟制度の弊害の部分です。


熟練レベルでも、教えることができる方と、そうでない方がいらっしゃいます。


人間の脳は、関係で出来上がります。

関係とは、生を受けてから後にその人がどんな経験をしたかということが大きな要素となります。


遺伝的にDNAによって受け継がれた情報を基盤として、人が生まれてからモーダルチャンネルから吸収した全ての情報を無意識が蓄えているたくさんの情報があります。


モーダルチャンネルとは、外界からの情報が脳へと伝えるための接触点、いわば脳への入口のことです。人間では、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚に言語をプラスした六感となります。


その豊富な情報の中から、意識に上がった情報を主体として人の脳が出来上がります。


しかし、そのベースには無意識(潜在意識)というものがあります。


無意識は、自分の居心地の良いコンフォートゾーンの中で、ブリーフシステムを形成します。

親や学校の先生など、子供の時期に長い時間影響を受ける人からの情報が主にブリーフシステムのソースになります。


ブリーフシステムとは、無意識レベルで行っている行動や自身の信念などを指します。


「わたしにはできない」「私はこのままでいいんだ」「また失敗しちゃった。私ってダメ人間」

など、私も含めて人間はたくさんのセルフトークを毎日自分に言い聞かせていますが、主にこれらが積もって、ブリーフシステムを形成します。


上記のような難しい話は置いておいて、OJTの教官は以下のことをわかっていないと務まりません。



例えばです。


自分はスペシャリストだけど、研修生は自分と同じ知識がないから、自分がいつも使っている言葉だけでは本当にわかってもらえないということを理解しているかどうかがカギになります。


「このホールは、このバンカーの端からグリーンまで140ヤード。あとはそこからグリーンまでのの距離を感覚でアドバイスする。」


このような情報は、あくまでも本人の深い経験により培ったものです。

このように経験的に磨いてきた情報を確固として持っている人は、これだけでお客さんに的確なアドバイスができます。


しかし、未経験者は違います。

初めてそのコースをラウンドする人と同じように、何が目印のポイントなのかなど考えたこともありません。


「バンカーの端」が大抵のお客さんのボールの落下地点だという経験から、経験者が見つけたポイントなのですが、未経験者にとっては、何故ここなのか、何故ここを目標にするとわかりやすいのかを理解すべき情報が頭の中に存在していないのです。


その情報を持っていない脳に、「このホールは、このバンカーの端からグリーンまで140ヤード。あとは感覚でアドバイスできる。」と教えても、「?????」ということなのです。


少なくとも、OJTの教官は、「自分の言葉が研修生には、そのままでは伝わらない」ことを理解している人でないと務まらないのです。



 

私は本日(8月17日)、一ヶ月前に意図せず遭遇したOJTの結果を、この目で確認することができました。


朝のスタートの挨拶(説明)から、最後のホールアウトまで、欲を言えばいくつもありますが、十分に一人前のキャディに成長した研修生に、サービスをしてもらいました。


彼女は、立派に独り立ちできていました。


(私個人の)顧客満足度、ハイレベルです。


この記事を読んでくれたみなさん、OJTは行き当たりばったり課題を投げつけるだけでないということをもう一度考えてみてください。


OJTは育成する人物像を明確にして、

何を教えるかをしっかり整理して、

それを確実に研修生の脳の中にインプットして、

実地訓練を繰り返すことが重要なのです。


末尾ながら、

私はこのゴルフ場の磨かれたOJTの仕組みと、教官のパフォーマンスに敬意を表します。






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