今回は、3部作に発展しました。
ある設備メーカーのメンテナンスサービスを担当している方々のカイゼン活動についてのお話です。
彼らは毎日忙しく働いていました。毎日毎日自分の仕事をこなすことが精一杯の状況です。
なかなか楽になる兆しも見えてきません。
これが彼らの現状です。
私からみていて、決して楽な世界には見えませんが、これが彼らの現状なのです。
これが彼らにとっては、当たり前になっている世界なのです。
この世界のことをコンフォートゾーンと言います。
文字通りのコンフォートではありませんが、認知科学ではコンフォートゾーンと言います。
通常この状態では、パフォーマンスは向上しますが、仕事に追いまくられている現状を受け入れてしまっているのです。
これを打開するには、彼らの理想とするゴールを設定して、その世界をコンフォートゾーンにするしか方法はありません。
彼らは、現実を見つめ始めました。
彼らの作った手順書のユーザーと向き合い始めたのです。
今まで漠然と思っていたことを、ユーザーの口から聞くことになったのです。
「前から、(私たちが作った)手順書を、作業者が
あまり使っていないと言う噂は聞いていましたが、本当でした。」
「(私たちが作っている)手順書が、
あまり役に立っていないよう(で残念)でした。」
「現地工事のリーダーが、手順書は工事担当者が理解できる内容
であることが望ましいと言っていました。」
彼らは、今までどっぷりと浸かっていた世界から、一歩外に歩き始めました。
そうしたら、ユーザーの本音が頭の中に飛び込んできました。
コンフォートゾーンを覆っていた、RAS(網様体賦活系)のフィルターが、見事に外れました。
コンフォートゾーンから抜け出すには、大きなエネルギーが必要です。
放っておいたら、いつまでもコンフォートゾーンの中に安住してしまいます。
しかし、一歩外に踏み出すことで、スコトーマに覆われていて、見えなかったものが見えてきたのです。
前回の記事の振り返りです。
私は、このカイゼンメンバーに、IT化による効率性だけを求めることで終わって欲しくありませんでした。
日々追いまくられるように仕事をしている彼らにとって、できるだけ効率的に仕事をすることは重要です。それを否定しているわけではありません。
私は彼らに「自分が作った「手順書」を、工事担当者たちがどれくらい頼りにしているか、
まず調べてみましょう。」と提案しました。
「現地に行っても良いし、作業リーダーに聞いても良いのです。」
「いま仕事をしている事務所から一歩外に出て、実態を自分の目で確認してみましょう。」
「現状の外に出て、自分の仕事をもう一度眺めてみましょう。」
私は、カイゼンメンバーに上記のことを提案しました。
そして彼らは、この提案を受け入れてくれ、この2週間の間にユーザーに話を聞きにいきました。
そうしたら、ユーザーの本音が彼らの頭の中に飛び込んできたのです。
「前から、(私たちが作った)手順書を、作業者が
あまり使っていないと言う噂は聞いていましたが、本当でした。」
「(私たちが作っている)手順書が、
あまり役に立っていないよう(で残念)でした。」
「現地工事のリーダーが、手順書は工事担当者が理解できる内容
であることが望ましいと言っていました。」
今回彼らの頭の中に飛び込んできた情報は、以前から彼らの周りにたくさん転がっていたものでした。
現地工事リーダーは、手順書を作業者のために作ってほしいと考えている
作業者は、今の手順書をあまり活用していない
でも、彼らはそれを彼らにとって重要な情報だと思っていませんでした。
現状のコンフォートゾーンにどっぷり浸かってしまっているので、外の世界が見えなくなっていたのです。
彼らは、脳内のRAS(網様体賦活系)のフィルター効果で、自分に関係ないと思われる情報をシャットアウトしていたのです。
ここから抜け出す道は、ただ一つ、現状のコンフォートゾーンから抜け出すことです。
そもそも、工事手順書は
「何のために」、「誰のために」作成しているのでしょうか?
この答えを見つけることが、彼らが彼らの現状から抜け出すための第1歩なのです。
苦労して作っている手順書があまり役に立っていない?
そもそも役に立っていない仕事の効率化をして何になるのでしょう?
彼らは、この事実に気づくことができました。

現状から脱出するために、一歩外へ歩き始めたから今まで気づかなかった事実を、事実として認識することができたのです。
カイゼンは、まず現状から脱出することがスタートです。
スコトーマが外れれば、スタートを切った途端に、もう折り返し地点に立ったようなものなのです。
これが、本当のカイゼンです。
これが、本当の仕事のやり方です。
これができれば、八百屋の親父のように、自分の仕事の成果を肌で感じることができるようになると思いませんか?
前回もご紹介しましたが、この問題を考えるに当たって、
私の2021年11月のブログをご参照ください。(←ここをクリック)
八百屋の親父はお客さんと直接会話をして、お客さんが何を望んでいらっしゃるかをしっかりと把握しています。
そして、お客さんに満足してもらうために、希望に合った野菜を仕入れます。
八百屋の親父はその日に仕入れる時の自分の判断を、
お客さんが笑顔で買ってくれることで、成果として肌で感じることができます。
だから八百屋の親父はいつも元気なのです。
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