続いて、人に関わるミスに焦点を当てることになった。
書類の流れは紙に書いて見える化できた。
アドバイザーは、今度は私たちの考えていることを見える化すると言っている。
そんなことできる訳が無いと恭子は思った。
アドバイザーは「日頃仕事中に思っていることをここに書き出してください。なんでも構いませんから、、」と言って私たちにポストイットを配った。
シフトにより参加できない人の分もポストイットをもらい、恭子がみんなに伝達する事になった。
「これなら簡単だ。他の同僚にも説明して、いつも思っていることをみんなで書いてやろう!」と恭子は考えた。
次の週にカイゼン活動は再開した。アドバイザーにみんなで書いたポストイットを渡すと、彼は模造紙にそれを並べ始めた。
出来上がったものを眺めて、恭子は「私だけじゃなく、みんな思っていることは同じだったんだ。」とホッとした。
みんなで事前に打ち合わせたように、全員の気持ちが揃ったような感覚をおぼえた。
恭子を始め、他のテラーたちも日頃プレッシャーを感じながら仕事をしていたことが見える化できた。
支店に入ってくる前から、怒ったように不機嫌な顔をされているお客様には、いつもプレッシャーを感じていたのは自分だけではなかった。
それに加えて、新規法令に対応するために本人確認をしなければならないなど、最近は新たにやることが日増しに増えていた。
そんな中で、「あなたに相談してよかったわ。ありがとう。」
と声をかけてくださる優しいおばあちゃんもいらっしゃる。
そんなときには達成感とともに、やりがいを感じることもあるのだった。
さらに漠然と忙しいと感じている日常の状況を6月のデータを集約してグラフ化してみた。業務負荷の変動はあるものの規則性が見られることがわかった。
これまで行員が肌で感じていた 繁忙の感覚が、目で見えるようになったので、時間の使い方をみんなで検討する事ができるようになった。
このような検討を「小集団カイゼン活動」として、グループで継続する事になった。
最も忙しい9月末の昨年のデータを見ると、来行者 214人/日であった。この人数なら、
前列完結の仕事にやり方は成立することも検証できた。
この活動は、自分たちの支店から全行に展開される事になり、恭子たちグループは支店長から表彰される事になった。
ここまで活動してきて振り返ってみると、ただ「忙しい、忙しい」と言っているだけで何もしなかったら、何も変化が起きなかったとしみじみ感じる。恭子はやはりやってみて良かったと思った。
まとめ
カイゼンをやる余裕がない忙し時こそ、現状を見える化して問題を見つける、定石通りのカイゼンをする意義は大きい。
自分たちの業務カイゼンは自分たちの手で行う習慣をつけることが重要。
特にミスや不具合の撲滅活動では、業務プロセスの標準化とそのプロセスをオペレートする人の能力や取り巻く環境などをカイゼンすると必ず効果は現れる。
【注意】いきなり業務プロセスの標準化を目的にするのではなく、問題の原因を突き止めることが重要です。定石通り原因を掴んでそれを取り除くことが対策です。
解決策を急ぎすぎると、不完全な結果に終わってしまいます。
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