コーチングでは、ゴールを設定してゴールの臨場感を感じると、
人は矛盾を感じて不愉快な気持ちを感じると言います。
ゴールの臨場感とは、コンフォートゾーンがゴール側に移行することを指します。
つまり、自分のマインドの中ではゴール側にいると言う感覚なのですが、現実はまだゴールを達成していませんので、この差に大きな違和感を感じると言うわけです。
今回は、この認知的不協和についてもう少し、掘り下げて考えてみたいと思います。
例えば、喫煙が体に悪いと知っていながら、なおも喫煙を続けている人がいたとします。
こうした行為は一見矛盾してはいますが、必ずしも特別なものではなく、よくある話です。
この愛煙家が次のように考えていれば、彼にとってみれば自らの行為で、矛盾は解消されています。
自分はタバコが大好きなので、それだけの価値はある。
タバコで自分の健康をそこなう可能性は、それほど大きくはない。
自分は、今までタバコを吸い続けていてもこうして生きている。
煙草をやめても体重が増えるから、健康に悪いというのは同じだ。
このようなセルフトークは皆さんも日頃覚えがあるのではないでしょうか?
このようなセルフトークで、心理的な矛盾が解消されれば良いですが、矛盾が解消されなかった時、本人にとっては悶々とした不快な状態になります。
ある学校の一つクラスで何らかの災害や問題が発生しているとき、その災害が起こっていない隣のクラスで、「幽霊のせいだ」とか「原因の生徒に霊が乗り移った」
などと言う不合理な恐ろしい噂が広がることがあります。
これは、脅威に直面していない人が、自分にもその災害や問題が襲ってくるのではないかと言う不安を、正当化することで、気持ちを和らげようとするからです。
競馬場で馬券を買った後には変更できませんが、馬券購入後はより自分が選んだ馬に理由のない自信を深める(決定後の不協和)ような場合もあります。
馬券を買った自分の判断を正当化しようとするからです。
このような「矛盾」をアメリカの社会心理学者レオン・フェスティンガーは、「認知的不協和」と言っています。
不協和の存在は、心理学的に不快であるから、この不協和を低減し協和を獲得することを試みるように、人を動機づけるであろう。
不協和が存在しているときには、それを低減しようと試みるだけでなく、さらに人は不協和を増大させると思われる状況や情報を、すすんで回避しようとするであろう。
つまり、認知的な不協和とは、自らの知識、意見、あるいは信念に関わる不適合です。
フェスティンガーは、「単調な作業を行わせた学生に対して報酬を支払って、次に同じ作業をする学生にその作業の楽しさを伝えさせる」という実験を行いました。
この実験では、実際には自分にとってはつまらない作業と矛盾する楽しさを伝えるということですから、不協和が発生します。
報酬が少なかった学生は報酬が多かった学生よりも、より強く伝えました。
これは割に合わない報酬に対して「本当は面白かったのかもしれない」と、自分のマインドを修正して不協和を解消しようとするとの結論になりました。
Kommentare