皆さんの組織の中に、日常の業務の忙殺されている設計者を見かけませんか?
夜遅くまで残業をして、毎朝生気のない顔つきでコーヒーを飲んでいる。
そんな毎日が常態となってしまっている技術者を、よく見かけます。
もしくは、景気が回復して、製品の売れ行きが倍増してきて、今までの不景気の分を
なんとか挽回しようと、技術者を増員せず乗り切りたいというケースもあるかもしれません。
増員しようにも、すぐに優秀な技術者が見つかることや、育成することは極めて困難です。
そんな時でも、まだ諦めるのは、早すぎます。
カイゼンの定石ですが、設計者の仕事の実態を見てみることから始めます。
月に200時間もの仕事をしている設計者もたくさんいることでしょう。
その設計者の実態を細かく分析してみましょう。
これもカイゼンの定石ですが、彼の仕事をお客様にとっての付加価値があるかないかという観点で、層別していきます。
層別とは、QC用語で、分類するという意味です。
設計者お客様に喜ばれる良い製品を設計することです。
彼のアウトプットは、製品図ということになります。
製品図を作成するときに、彼は、お客様の要望などの設計条件の情報を、頭の中にインプットします。
彼の頭の中にインプットされた情報は、彼の頭の中にあった技術的な知識を付け加えられて、製品図の中に書き込まれます。
これを繰り返して、製品図は完成します。
ですから、製品図に書き込まれた情報は、最初に彼の頭の中にインプットされた情報から変化していることがわかります。
情報が変化しているかどうかをみることが、付加価値がついているかどうかを判断するときの参考になります。
こう見てきますと、設計者の付加価値は、頭の中で情報を加工している時間と、それを書き出している時間だと言うことができます。
通常はそんなに多い時間ではありません。
それでも、新技術や新構造など、あるいは、品質基準や原価低減を検討している時間はかなり多くかかると思いますが、詳細設計や標準モデルのカスタマイズにかかる時間はそれほど多くはないと思います。
設計者は技術に関する専門知識を蓄えた人ですから、彼には上記の付加価値をつける仕事だけに時間を使ってもらいたいものです。
これは、物理空間の製造現場でも同じことなのです。
トヨタ生産方式では、正味工数と付帯工数という言い方をしますが、ものが変化しているかどうかで見ることができます。
加工と停滞という言い方もします。
どちらにしても、お客様要望にする付加価値をつけているかどうかでみていくということです。
製造現場では、物理的に変化が見えますし、ストップウォッチなどで時間も測ることができます。
設計者の情報空間では、頭の中で情報を加工しているところは見えませんが、それを可視化していく工夫はいろいろとできます。 設計者お客様に喜ばれる良い製品を設計することです。
彼のアウトプットは、製品図ということになります。
製品図を作成するときに、彼は、お客様の要望などの設計条件の情報を、頭の中にインプットします。
彼の頭の中にインプットされた情報は、彼の頭の中にあった技術的な知識を付け加えられて、
製品図の中に書き込まれます。
ですから、製品図に書き込まれた情報は、最初に彼の頭の中にインプットされた情報から変化していることがわかります。
情報が変化しているかどうかをみることが、付加価値がついているかどうかを判断するときの参考になります。

さて、今説明してきた設計者の仕事を層別して、カイゼンしていく概念を上図で表してみました。 カイゼンする前の設計者の実績時間が一番左の棒です。
それを、付加価値あり・なしで層別します。 まず一番上のなくせるものは、すぐにでもなくします。 次にコンピュータに置き換えられる仕事は置き換えていきます。
設計者は、他の誰よりも製品に関する技術的な知識を持っていますので、頼りにされています。
関係者の中には、開示されている技術知識だけで十分判断できるようなことも、手っ取り早いので、設計者に電話で聞いてくることがよくあります。
設計者は、自分の仕事を中断して、その電話に対応しなければなりません。
それだけではなく、設計者自らのミスなどで、製造現場から呼び出されたり、質問を受けたりしています。
このような中断は、ミスの大きな原因となることもあります。
ミスの撲滅は、ミスのサンプル事例をいくつか集めて、なぜなぜ分析で要因を突き止めて、根絶します。 (なぜなぜ分析は、別に記事にもしてありますので、ご参照ください。)
このような問題を解決しなければ、本物のオートメーションは成立しません。
そのようなミスや問い合わせに答えてくれる機械が存在するのであれば、構わず機械化を進めるべきですが、残念ながら、私たちの世界ではまだそんな夢のような話は聞いたことがありません。 さらに、今の時点ではなくすことや減らすことが出来ない仕事で、設計の専門知識を持たない人に移管可能な仕事があります。
図面の登録作業、出図処理などの手続的な仕事は、別の人に助けてもらうことが出来ます。 こうやってじっくりと検討してきますと、ほとんどのムダは削がれていきます。
そして、設計者には、「本来設計者がやるべきこと」だけが残るのです。
目に見えない情報空間の改善も
基本は物理空間のモノづくりのカイゼンの考え方が生きています。
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