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執筆者の写真Hatsuo Yamada

私たちの一人ひとりが「他者として自己をイメージする」のです。

更新日:2022年5月29日

「意識の研究」を学ぶことで、自分なりの無意識の書き替えなどのコーチング理論について考えたいと思います。


この一連のブログ投稿は私の学習ノートです。

 

人類以前の霊長類においても、前頭前皮質は、過去と現在の情報源を信頼度に従って適切に重みづけ、総体的な決定を導くことを可能にする作業空間(ワークスペース)を備えていました。


人類に独自の主要な進化の過程で、このワークスペースは、他者の心からの情報にも開かれるようになったのだと推定できます。


私たちは言葉や身振りなどを通じて、集団的な意思決定アルゴリズムを活用することができるようになりました。自分と他者の知識を比較することで、よりよい決断を下せるようになったのです。


社会的な意思決定仮説から予想されるように、これらの領域の多くは、自己反省しているときにも、他人の思考について熟考しているときにも活性化されます。


大脳前頭極と前頭前皮質腹内側部は、自己、他者いずれに関する判断を下すときにも、非常に類似した反応パターンを示します。

このネットワークは、自己の知識の信頼性を評価し、他者からの情報と比べるのに理想的に適合した仕組みだと言うことができます。



ヒトの脳は、社会的な知識をイメージできる一連の神経組織を持っています。

私たちの脳は、自己に関する知識をコード化するにも、他者に関する情報を収集するにも、同じデータベースを用いています。


フランスの哲学者ポール・リクールが指摘するように、私たちの一人ひとりが「他者として自己をイメージする」のです。


日頃私たちは、自分と他人の行動を観察しながら暮らしています。

私たちの脳は、観察した事象について統計的な推論をしながら、随時決定を下しています。

自己のアイデンティティは、観察データに基づく統計的な推論を通じて学習されたものなのです。


内省は、自己の持つ意識可能な動機や戦略を見通しよくしますが、

私たちは他人の動機や戦略を解読する手段を持っていません。


しかも自らの真の自己でさえ、純粋な形態では知り得ないのです。


私たちは、自分の行動を事実上律している無意識的な決定要因にはほとんど気づいていません。

過去の経験の範囲を超えた状況での自らの行動を正確に予測することは、本人にもできないのです。


「自己」とは、社会経験を通じて得られた情報を、他人の心の理解に適用されるものと同じフォーマットで蓄えるデータベースです。


自己の理解に関しても、空白や誤解や妄想が生じます。

この意味で、意識は心の仮想現実シミュレーターなのです。


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