ある中小企業のカイゼン支援をしていた時のことです。
「余計な在庫はできる限り少なくしましょう」と、私達の間では、決り文句のようなことを提案しました。
すると、その会社の社長さんからは、こんな質問が返ってきました。
「なぜ、在庫は減らしたほうが良いのですか?」
「会計士の先生から、逆に在庫は多いほうが良いと言われているのですが、本当はどっちなんでしょう?」
私はその会計士さんの財務分析が、どういう主旨なのか?
最初は真意を図りかねていました。
どうも貸借対照表(バランスシート)の左側の資産が大きいほうが良いという、単純な思いを指摘しただけであることがわかりました。
資産の中に、棚卸し在庫という項目がありますが、会社の資産(財産)は大きいほうが良いという観点でした。
仕掛り品は、資産の中の一部ですので、仕掛品もを多く持っていたほうが良いと、社長は理解してしまったようです。
仕掛り在庫を持つことは、それを仕入れるための資金がいるわけです。その金額が多ければ多いほど、借入金が多くなる。つまり、資金が寝てしまうということなのです。
資産を増やす≠仕掛品を増やすということでした。
国のバランスシートがあるという情報を知りました。
経済学者、数量政策学者、元大蔵・財務官僚の、高橋洋一さんが、YouTubeのなかで解説されていた番組を視聴しました。
高橋さんは、2013年の時点で「日本は世界1位の政府資産大国」であり、国民1人あたり500万円の政府資産があり、売却すれば金融資産だけで300兆円になると主張していらっしゃるようです。
私は早速国のバランスシートを見てみました。これは財務省が公表している情報です。
この記事を書いている財務省のHPでは、令和2年度分が最も新しい情報ですので、下記に転載しています。
平成2年度で、これを見ると、1、376兆円の負債に対して、資産が720兆円となっています。
資産の中身の解説も掲載されていました。
グラフの右側に解説されている内訳をみると、確かに、いざとなったら売ることができるような、現金、貸付金、有形固定資産、出資金などで、多くが構成されています。
ざっと見た限り不良在庫と思われるような資産は、見当たりませんでした。
財務省やマスコミが増税の妥当性?を説明する時には、上のバランスシートの中の公債(国際)だけの金額を切り出して、(国民が)1,084兆円の負債をしているかのように、正直な国民の不安を煽っているという高橋さんの説明も頷けます。
財務省のHPを見ればこのような情報があるわけですから、マスコミはこれを分析して客観的に解説してくれれば良いと思います。
しかし、高橋さんの説明では、マスコミは財務省からの解説がないと、独自にこのような情報を理解する力がないため、報道してくれないようです。
情報の良し悪しを評価して、デマに怯えずに上手に、情報を使いたいものです。
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