無意識は意識より色々な面で優れています。でも、無意識礼賛はまだ早い?

更新日:2月2日

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私は「意識の研究」を勉強することによって、無意識の書き換えの方法などのコーチング理論に加えて、私なりのやり方を考えていきたいと思っています。


この一連のブログ記事は、私の勉強ノートです。

今回は無意識に関する最後の記事です。

 

これまでのブログ記事で整理してきたように、無意識の作用は、多くの点で意識よりも能力が高いことが現代科学による実験で明らかになりました。


画像認識の技術が向上した今日でも、人間の視覚システムは、強力なコンピューターソフトウェアにも処理が困難な、形状知覚や不変認識の問題をつねに解決しています。

私たちは、数学問題を考察するときはいつでも、無意識の持つこの驚くべき計算力を動員しているのです。



映画『マトリックス』(米・1999年)の世界のように、私たちは巧妙にセットアップされたバーチャルワールドの囚人であり、私たちが意識している経験世界は幻想以外の何ものでもありません。

私たちが下すあらゆる決定は、意識が不在の折に無意識のプロセスによってなされる。

1900年台の始めに、アンリ・ポアンカレは『科学と仮説』で、無意識の優位について次のように述べています。

「識閾下の自己は、意識的な自己に決して劣らない。それは完全に自動的なのではなく、ものごとの判別が可能で、機転と繊細さを持ち、予見し、選択する方法を心得ている。それどころか、むしろ次のように言える。識闘下の自己は、意識的な自己より予見する方法をよく知っている。前者は後者が失敗しても成功するからだ。ならば、後者より前者のほうが優れていると言えるのではないか?」


認知科学者の中には、無意識の優位について、過信ではないかと思われるような指摘をしている人がいるようです。

「私たちの判断や行動の基盤をなすすべての心の作用は、無意識のうちに働きます。

気づきは単なる傍観者で、無意識の仕事を眺めはしますが、自分では有益なことが何もできないバックシートドライバー(後部座席から運転を指図する人)にすぎない。」


このブログでは、無意識についての記述は終了し、この後、意識について考えていきます

意識は進化によって獲得された機能であり、有用だからこそ進化の過程を通じて形成された生物学的な特質なのです。意識は、認知において特定のニッチを占め、特化した並行システムたる無意識には手に負えない問題を解決できるのです。


ポアンカレは

「識閾下の力をもってしても、準備段階において、問題を解こうとする意識的な努力をまず大々的に行なわなければ、数学者の無意識の歯車は回転し始めない」と述べています。


彫刻家のヘンリー・ムーアも、著書『彫刻家は語る (The Sculptor Speaks)』(1937)で、まったく同じことを指摘しています。

「(芸術家の)仕事においては、心の非論理的で直観的かつ潜在意識的な部分が独自の役割を果たすが、意識も活動する。芸術家は全人格を集中して作業に打ち込む。そして意識は、矛盾を解決し、記憶を整理し、同時に二つの方向へ歩もうとする試みを抑制する。」


無意識を礼賛するには、まだ早すぎるようです。


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