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執筆者の写真Hatsuo Yamada

横展(水平展開)を阻むものは、あなたの脳にあるコンフォートゾーン

更新日:2022年10月13日

脳にはコンフォートゾーンというものがあります。


人間が快適に生活できる外部環境にはある程度の幅があり、その幅のことを「コンフォートゾーン」と呼びます。『テレビは見てはいけない 脱・奴隷の生き方 (PHP新書)』(苫米地英人 著)より


カイゼン活動を進めているとき、他の組織のうまくやっていうることを真似する。

トヨタでは「横展」と言います。水平展開あるいは、ベンチマーキングとも言います。


ベンチマーク( benchmark)とは、本来は測量において利用する水準点を示す言葉です。

これが転じて、金融、資産運用や株式投資における指標銘柄など、比較のために用いる指標を意味するようになりました。

さらに、広く社会の物事のシステムのあり方や規範としての水準や基準などにも使われるようになっています。


ベンチマーキングは、「ベンチマークすること」という意味でとらえ、プロセスなどの手本や規範とすべき事例に学んで、自分の仕事のやり方に取り入れるということになります。この意味で、水平展開トヨタの横展と同じことをさしています。


これが一般的に、意外とできないのです。


私はコーチングを学ぶ前には、”人のプライドが邪魔している”と漠然と思っていました。

なかなか人のやっていることを評価して、自分が真似をすることに抵抗があるのではないかと考えていました。


しかしコンフォートゾーンという概念を学んでみると、プライドも一つの要因ではあると思いますが、

それよりこのコンフォートゾーンが横展を阻んでいると思うようになりました。


したがって、コンフォートゾーンが原因だということは、解決策が見つかります。


「横展」を成功させるためには、

現状の外側のゴールを設定することが重要なのです。


コンフォートゾーンというのは、自分が慣れ親しんだ環境のことを指します。


人は、コンフォートゾーンの中に身を置いている場合、リラックスして最高のパフォーマンスを上げることができます。


ですから、コンフォートゾーンとは、悪いことばかりではないのです。


サッカーの選手が、自分のホームで力を出すが、アウエイになると最高の力を発揮することができないというのは、コンフォートゾーンの考え方で説明がつきます。



 

ある設計チームのお話です。

このチームをBチームと呼びます。


Bチームと同じ部の中にはすでに、「標準タイプの機種は、ボタンを1回押すだけ」というカイゼンを設やり遂げた、Aチームがあるのです。


BチームはもちろんAチームの存在を知っていますし、Aチームのカイゼン事例を聞いたことがあります。


Bチームは、Aチームのカイゼン事例が参考になるというところまでは、理解できています。

変な競争意識によるプライドも特に感じていないようですので、Aチームの事例を理解して、自分達のやり方に、横展することにも抵抗はありません。


残念なのは、横展すれば良いとは理解できたのですが、その後で、まだ何かムダが残るという漠然とした思いが、頭を離れないようです。


Aチームの事例では、標準タイプについては、ボタンひとつで仕事が終わっているのです。


Bチームは、Aチームとの差だけを明確にして、それをカイゼンすれば、横展は完成です。


Bチームがカイゼン活動を進める過程で、まだ元のコンフォートゾーンから抜け出ていないのではないかということが考えられます。


AチームではIT化に際して、最初に入力する情報の確らしさを確保するために、お客様⇨営業⇨設計に流れてくる情報の間違いをなくすことに成功しました。


最初に入力する情報に間違いがなければ、その後標準図面などをはじめとするあらかじめ整理された情報を組み合わせて、製造へ正しい情報が伝わるようになるのです。


このことに気がつくには、下の図のRASによって跳ね返されることがないように、コンフォートゾーンを新たな仕事のやり方に移動させることが必要です。





脳の中にあるコンフォートゾーンは、現状を維持しようという方向に働きます。


それを維持しているのは、RAS(Reticular Activating System 網様体活性化システム)

の作用によって、現状では必要と思わない情報が跳ね返されてしまうからなのです。


コンフォートゾーンは人が集まるところにも生まれます。


コンフォートゾーンの性質をうまく利用すると、組織がゴールを実現する力が飛躍的に高まります。


メンバー全員が何かを目指そうと一致団結し、ひとつのコンフォートゾーンを「標準タイプはボタンを一つ押すだけ」に描いたとき、そのゴールに向かう力が圧倒的に強くなり、RASは必要な情報に対して開かれた状態になります。


私は過去に、これをベクトル合わせという言葉で理解してきました。

ベクトル合わせに必要なのは、全員に「腹落ち」させることと言い伝えてきました。


このことは、認知科学で説明ができます。


上記ひとつのコンフォートゾーンを未来側に描いたとき、そのゴールに向かう力が圧倒的に強くなり、未来にワープするような状態になります。


だからビジョンをみんなで共有するという方法が有効なのです。

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