私がクラブを作ってもらったり、スイングを見てもらったりしている師匠が、横須賀の大谷部というところで、ハミングバード・スポルテ(HBS)という名前のお店を営んでいます。
悶絶はすでに6年も続いていました。
「もうやめたい、元に戻したい」と意を決して師匠に伝えました。
返ってきた答えは、「もう元へは戻れません」
この旅では、もう一度Royal Dornochでラウンドしました。
このときは、オーストラリアから来たご夫妻とご一緒させていただきました。
お二人とも、私と同じようにこの近くに宿泊なさっていて、数ヶ月の休暇を楽しんでいるとおっしゃっていました。
私は、この週13日(日曜日)にRoyal Dornochでラウンドしたあとの2日間、近隣のBroraとGolspieでゆったりゴルフを楽しんでいました。
Broraでは、牛や羊がそこら中に寝そべったり、歩き回ったりしていて、日本では絶対に信じられない風景の中のゴルフです。
私は綱に繋がれていない、牛に間近に接するのは、生まれてはじめてでしたので、突然私に襲いかかってくるのではないかという不安に駆られながらのゴルフでした。
Golspie はクラブハウスから眺める海の手前に、美しいリンクスが横たわっています。
途中で丘に登っていくそのレイアウトになっています。
林の中にヒースの花が咲き乱れる光景に出会うという変化に富んだものでした。
ゴルフだけでなく、ベンチに腰掛けながら、一面のヒースを眺めているだけでも十分に楽しい時間を過ごすことができそうです。
一人でラウンドしていると、2〜3人でラウンドしているゴルファーたちに出会います。
「こんにちは」
「やー、何処から来たんだい?」
「日本から」
「エンジョイ・リンクス」
「良い一日を」
こんな触れ合いも、リンクスゴルフの楽しみの一つです。
Royal Dornochで同伴させていただいたご夫婦は、私の悶絶ぶりにも呆れることなく、一緒に楽しくゴルフをさせていただきました。
ラウンド終了後、奥さんから「一緒にお茶でもどうですか?」とお誘いがあり、クラブハウスの2階のレストランに、一緒にあがって行きました。
「私は会社の夏休みなので、ひとりでRoyal Dornochの周辺を旅しています。」
「今回で、スコットランドは5回めになります。そのうちの2回は友人も一緒でした。」
「私達もこの周辺に宿泊して、楽しんでいるのよ。あなたはどのリンクスが好きですか?」
「私は、木曜日の夜にAberdeenに着いて、金曜日から、Nairn, Wick, BroraとGolspieをラウンドしました。Royal Dornochは今日で2度目です。」
「Wickはどうでした?私達も検討しているところなの。」
「素晴らしいリンクスです。海に直接面していませんが、変化があって面白いコースでした。」
「それに、地元の人の温かい気持ちに接することができて、良い思い出になりそうですよ。」
「それじゃあ、私達も是非行って見るわ。」
とご主人と目を合わせて、うなずきあっていました。
「日本には、美しいゴルフ場がたくさんあるという評判ですね。」
「私達日本への旅を計画し始めたのですが、夏と秋とどちらが良いでしょう?」
「それはすばらしい。歓迎しますよ。」
「でも、夏はやめたほうが良いです。ここ数年は、夏に35度くらいまで気温が上がるようになってしまったので、ゴルフをなさるなら、秋か春をお勧めします。」
「ありがとう。じゃあ秋にしようかな。」
「ところで、日本のゴルフ場はすべて、ゴルフカートが設置されているそうですね?」
「想像しただけでも、奇妙な感じがしますね。」
「そうですね。4人のゴルファーが仲良く一台のゴルフカートに乗って、移動しているとろは、滑稽な感じがしますね。」
私は、オーストラリア人の奥さんの言葉を聞いて、頭の中に、「4人のゴルファーが仲良く一台のゴルフカートに乗って移動している姿」を即座に思い浮かべました。
ゴルフカートは、無線で誘導される方式が一番ポピュラーなようです。
決められたルートを、決められた速度で走るようにプログラミングされていて、事故でもない限り決められたルートから逸脱することは滅多にありません。
私がゴルフを始めた頃、私の家の隣に住んでいたアメリカ人と仲良しになり、よく一緒に米軍の厚木基地内にあるゴルフ場に連れて行ってもらいました。
ラウンド終了後に19番ホールという名前だったと思いますが、レストランで大きなTBoneステーキを食べて、5,000円でした。
その頃はバブル景気の絶頂期でしたので、日本のゴルフ場は料金が高く、こんな料金でできるゴルフは、若くてお金のなかった私にとって魅力でした。
厚木基地のリンクスでは、二人乗りのガスカートを使っていました。
ガスカートで、フルスピードで、フェアウエイまで乗り入れて、ボールのところまで行って、一人下ろし、その人がボールを打ってカートに戻ると、ガスカートを運転しているドライバーが、即座にアクセルを踏んで次のボールまで、1直線。
これがアメリカ流のゴルフだと私の記憶に今でも刷り込まれています。
ゴルフカートは、アメリカ流を真似して導入されたと思いますが、日本流は少し違います。
日本では、フェアウエイにカートを乗り入れることを許可するゴルフ場は少なく、決められたカート専用道路の上を走行する方式が主流となりました。
リモコンで、ゴルフカートをスタート・ストップさせる方式で、カート道路からボール地点まで、横移動となります。律儀な日本人は、ほぼ正確に横に歩き、またカートに横に戻ってきます。
私がリモコンを預かっている時に、ゴルフカートを前に進めたら、怒られたことがありました。日本には、ゴルフに来ているのに、歩きたくないゴルファーがかなりいます。
わたしは、日本でもできるだけ歩くようにしています。山岳コースでは、すべて歩けないこともありますが、歩いたほうが健康に良いし、次のショットのイメージも浮かびやすいと思うのです。
私は、最近太平洋クラブの八千代コースによくでかけます。
山岳コースではないので、アップ・ダウンが少なく、基本は歩きで、スループレイができます。このようなスタイルのゴルフ場は少ないので、希少価値があると思っています。
最近になって、八千代コースにもゴルフカートが導入され始めました。フェアウエイに乗り入れができるようになる動きがあります。
差期日届いたパンフレットには、御殿場ウエストでもフェアウエイ乗り入れが認められるようになりそうです。
私の試験ですが、やはりゴルフは徒歩で楽しみたいものです。
私がこれまで経験した、イングランドでも、アイルランドでも、「4人のゴルファーが仲良く一台のゴルフカートに乗って、移動している光景」には出会うことはありません。すべて歩きです。
Royal Dornochでの会話の後に時々日本でプレイしているときにも、他のゴルフカートとすれ違うと、私はこの会話のことを思い出、心のなかでして苦笑しています。
あのご夫妻は、あのあとカナダへ行って、オーストラリアに変える予定だと言っていました。
Covidの前に日本に来られたとしたら、もう日本式のゴルフカートに乗って、苦笑されているかも知れません。
Comments