さまざまな会社の方から、
「うちの会社はPDCAが回らないのです。PDくらいまでしか回らなくて困ります」
と言う愚痴をよく耳にします。
「Dまで行っていれば良いじゃないですか?」と喉元まで出掛かります。
ところが、よくお話を聞いてみるとDoもできていないことがよくあります。
PができていないからDCAまで回らないのです。
他の記事でもトヨタの問題解決をご紹介したことはありますが、もう一度ご説明します。
この絵をご覧ください。
トヨタの問題解決では、このようにPを5つのステップに分けてあります。
Step5までやらないと、Pが終わったことにはなりません。
Step1問題を明確にする
あるべき姿と現状のギャップから問題を導き出します
Step2その問題をブレークダウンする
問題を細かく分析して、今回取り組むべき課題を明確にします
Step3達成目標を決める
あるべき姿を意識しながら、できる限り具体的に到達点を決めます
Step4真因を考え抜く
なぜを5回繰り返して、本当の原因を掴みます
Steo5対策を立てる
ここで初めて原因を取り去ることができる対策と実施計画を立てます
ここまでがP=Planです
Step6対策をやり抜く
対策をやり抜くだけです、つまり具体的な実施事項が計画に落とし込まれています
Step7結果とプロセスを評価する
今回の活動の良し悪しを結果だけでなく、活動プロセスを含めて評価します
Step8成果を定着させる
問題解決をやり終わって一息つく前に、成果が定着するように標準化して、確実に実施されるように教育まで含めてやりきります
どのステップを取っても中途半端なプロセスはありません。
思いつきや勘などが入り込む余地は一切ありません。
この教育を課長に昇進するまでに、3回受講します。
bBをはじめカムリなどの車をまとめ上げている、北川 元CEはトヨタの問題解決に関して、
「一番印象に残っている問題解決は、係長への昇格前に行われた中堅社員でのもの。
この風土がCE制度を支えてくれている。」と述べています。
『トヨタ チーフエンジニアの仕事 (講談社+α新書)』(北川尚人 著)より
ここまでPDCAを独自の問題解決手法として、従業員に徹底的に教育する
トヨタの仕事は全て、この問題解決で行われています。
毎年行われる、年度重点課題を解決する方針管理もまさにこのプロセスで解決されます。
方針課題がオーソライズされた時には、解決の手順も検討されており、ほぼ課題は達成されます。
プリウスに代表されるような、新製品や新機能の部品などは最初から具体的な開発手順は見えていませんが、常にこのような仕事のやり方が身についているので、試行錯誤を含めて何としても問題解決する風土が出来上がっています。
さまざまな職場では、上司と部下、先輩と後輩、同僚同士などで、日常会話の中になぜなぜが入り込んでいたり、オフサイトミーティングにもなぜなぜが入り込んでいます。
(現在はコロナ禍でできませんが、)
ここまでやれば、PDCAが日常的に回転し始めて、とどまることはありません
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