『トヨタの日常管理板 チームを1枚!で動かす』((株)OJTソリューションズ 著)を参考に記事を作成しています。
生産現場には日常管理板というものがあります。
うまく活用できないと無用の長物と化してしまいます。
埃をかぶってしまっていることも多いですね。
置いてあることを忘れてしまい、足を引っ掛けたりすることがあります。
(ヒヤリ・ハット!)
本来「日常管理板は、マネージャーとメンバーのすれ違いを正し、「ほめる」「認められる」きっかけをつくる場でもあります。
ダメなマネージャーの行動の一つに、思いつきで行う指導が挙げられます。以前、メンバーに言ったことを忘れてしまって違うことを言い、迷走させてしまったりします。
でも、日常管理板をうまく活用すれば、思いつきがでてくる幕はありません。
日常管理の中でうまくコミュニケーションをする前提として、こんな話を紹介します。
「ある職場で、若い従業員が多くの不良を出してしまったときのことです。 その職場の課長が急いで上司に報告する準備をしていると、報告するよりも早く、現場を歩いていたトヨタ生産方式の担当部署の主査(部長級)がそれを発見してしまったのです。
その人は普段から厳しく、皆からおそれられていました。課長はこっぴどく叱られるだろうと身構えましたが、なんと彼は突然、涙を流し始めたのです。
そこにいた皆がその様子に驚き、呆気に取られていると、
『お前な……』と彼は語り始めました。
『人生80年というが、従業員たちは20歳くらいから60歳までの40年間、会社にいてくれる。この40年というのは、人生の中でもゴールデンタイムというべき、輝かしい時間だ。だから、その中の今日という1日、また1日24時間の中のここで働く8時間というのは、きわめて貴重な時間なんだ。
それなのに我々は、彼の大切な時間を、不良をつくらせることだけに費やしてしまった。一銭にもならないムダなことをやらせてしまった。これは非常に罪深いことなんだ』
そう言うと、若い従業員に近づいて、『申し訳なかった』と、管理の至らなさを謝ったのです」
人が仕事を覚える際には、単に業務マニュアルに書いてあることだけではなくて、上司や先輩のちょっとした仕事ぶりから学ぶことも多いはずです。
接する機会が少なくなるのならば、そうした見えにくい仕事の勘どころやコツ(トヨタでは〝カンコツ〟と呼びます)を洗い出し、「皆が身につけるべきこと」としてまとめていくことも大切でしょう。
この考え方を持っていれば、職場のコミュニケーションは円滑になります。
上司も部下もお互いに相手のことを尊重し、心が通じ合えるのです。
トヨタウエイの中に、「Respect 人間性尊重」があります。
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