意識的な知覚が遅いことをカバーする二つの仕組み。

「意識の研究」(スタニスラス・ドゥアンヌ)を学ぶことは、コーチング理論の理解をさらに深めることができます。

「無意識の書き替え」などにおいて、独自の味をつけていきたいと勉強しています。


この一連のブログ投稿は私の学習ノートです。今回は、無意識、意識に続くテーマ

「意識のしるし」を書いていきます。


無意識に関する記事(41件の目次)は、ここです。

意識に関する記事(12件)は、ここです。

 

脳は外界の情報をゆっくりと集めるために、意識上「現在のもの」と見なされる情報も、少なくとも三分の一秒は遅れています。


この短い期間は、入力刺激が非常にかすかなために、意識的知覚の入り口に到達する前に十分な証拠の蓄積が必要なケースでは、○・五秒に達することもあります。


すでに見たように、他の事象に気をとられていると、意識にのぼるタイミングはさらに遅れてしまいます。


運転中の携帯電話の使用が戒められるのは、まさにこのためです。

前方の車の停止ランプが点灯したのを見てブレーキを踏むなどの、反射反応と思われる動作でも、他のことに気をとられていると反応は緩慢になります。


私たちは皆、自分たちの注意力の限界をよく理解していないため、外界で起こっている客観的なできごとに対して、主観的な知覚が遅れてしまう事を正しく認識していません。それでも通常、その点は大きな問題にはなりません。


私たちは、対応する視覚・聴覚情報が、すでに0.5秒前には眼や耳に到達している事を知らずに、美しい日没や交響楽を楽しむことができます。


静かに音楽を聴いているときに、正確にいつ音が発せられたかを気にしたりはしません。

行動する必要が生じた場合でも、意識の遅延した反応をもってしてもほとんど問題がないくらいゆっくりと、外界自体も変化するのが普通です。


しかし、「リアルタイム」で行動しなければならなくなったときに初めて、自分の気づきがいかに遅いかに気が付きます。



ピアニストは、鍵盤上を跳ね回るおのおのの指の動作をいちいち気にしてなどいられません。意識のスピードでは、素早い指の動きについていけるはずがないのです。


このような意識の遅延を埋め合わせる二つの仕組みが、脳には備わっています。


1無意識の「自動操縦」

デカルトが観察したように、燃えさかる火に触れた手は、痛みに気づくはるか以前に素早く引込められます。私たちの目や手は、状況に適合した反応をします。

意識的な気づきの外で機能する、一連の感覚運動回路に導かれているからなのです。


2予期

人の脳の感覚・運動領域には、外界の出来事を予期する学習メカニズムが備わっています。

外界の出来事が予測可能な形で生じる場合、脳のメカニズムは、正確な予期をすることができます。

それによって私たちは、予期していたできごとが実際に発生したときには、より素早く知覚できるのです。


予期のメカニズムがあるために、光の瞬間的な点滅など予期していなかったできごとが起こると、私たちはその開始時点を誤認します。


たとえば、一定の速度で動く点を表示させ、あるタイミングでその真下に光を突然に一瞬だけフラッシュさせると、光がずれて見えます。予期していなかった刺激に比べて、予期していた刺激はつねにより素早く知覚される効果を「フラッシュラグ」と呼びます。


牛乳の入ったコップを思わず落としたとき、この現象をじかに経験できます。

あなたは、意識が事態を把握しようとしていることにはっきりと気づきますが、

どうにもできなかった、自らの反応の遅さを嘆く結果に終わるでしょう。


エラーの知覚は、無意識の評価と、それに続く意識の点火という二つの段階を追って作用します。

たとえば、光が一瞬点滅したとき、あなたは目をそむけるように言われたとします。

しかし、光が点滅した際、目は一旦それに引きつけられたあとでそむけられるのです。


この実験で興味深いのは、被験者が最初のエラーに気づかない場合があることです。

本人は、すぐに目をそらしたと感じていても、実はそうではないのである。


EEGを用いれば、その種の無意識のエラーが、脳内でいかにコード化されているかを観察することができます。

最初の200ミリ秒間、皮質は、意識されているエラーにも、されていないエラーにも、ほぼ同一の反応を示しました。


他の感覚反応と同様、脳によるこの初期段階の反応は、完全に無意識のうちに生じ、

気づかれないことが多くあります。

しかし私たちがエラーに気づくと、後期の強い陽性の反応が続きます。


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