意識レベルは、前頭前野や頭頂葉へのシグナルの伝播でわかります。

「意識の研究」(スタニスラス・ドゥアンヌ)を学ぶことは、コーチング理論の理解をさらに深めることができます。

「無意識の書き替え」などにおいて、独自の味をつけていきたいと勉強しています。


この一連のブログ投稿は私の学習ノートです。今回は、無意識、意識に続くテーマ

「意識のしるし」を書いていきます。


無意識に関する記事(41件の目次)は、ここです。

意識に関する記事(12件)は、ここです。

 

昨日の記事で触れた、局所/大局テストには通らなかったのに、昏睡状態から回復し意識をはっきりと取り戻した患者の事例が多数あります。

局所/大局テストは意識の指標になると期待していますが、まだ完璧とは言えない状態です。


取得データに高度な、グーグルに類似するツール、つまり機械学習アルゴリズムを適用することで、さらなる改善ができます。

大局的新奇性に対する脳のあらゆる反応を、特定の患者に例外的に認められる固有なものも含め検索できます。


しかしこの方法を用いても、最小意識状態の患者や、コミュニケーション能力を回復した患者のおよそ半分については、まれに生じる大局的な逸脱に対する反応を検知できませんでした。


統計学では、このような状態は、特異度は高いが感度は低いケースと見なされます。


肯定的な結果が得られた場合には、患者には意識があると確実に言えます。しかし否定的な結果をもって、患者に意識はないとは結論できないのです。このような感度の低さには、いくつかの理由があります。


  • EEG記録にはノイズが多いことがその一つです。

  • 電子装置の山に囲まれた病院のベッドで、ときにじっとしていない、あるいは視線を固定できない患者を被験者にして、明確なシグナルを検知するのは非常に困難です。

  • 意識はあっても、テストの意味を理解していない患者もかなりいます。

  • 障害が重ければ、逸脱音を数えたり、それとして検知したりする能力を欠いていることもあります。

  • あるいはそもそも、単に数秒以上、ビープ音に注意を集中できない患者もいるはずです。


それでもこれらの患者は、自らの内的世界を維持しています。

彼らの脳は、互いに遠く隔たった皮質領域同士で情報を伝え合う能力を依然として残しているという意味です。


2000年代後半、ミラノ大学のマルチェッロ・マッスィミーニは内部刺激を用いることを提案したのです。

彼は電気的活動を直接皮質に引き起こせばよいと考えました。





ソナーのピングとは、シグナルを送り、その反響によって何らかの状態を確認することです。


強い刺激が皮質や視床に伝わり、その反響の強さや期間は、刺激が伝播した領域の統合度を示すはずです。

活動が遠隔領域に届き長期間反響すれば、その患者にはおそらく意識があります。

この方法を採用すると、刺激に注意を向ける必要も、それに対する理解も特に必要ありません。

患者が気づいていなくても、電気パルスによって、皮質の長距離経路の状態を精査できるのです。


このアイデアを実現するために、マッスィミーニは、TMSとEEGという二つの技術を、巧みに組み合わせて用いました。


TMSは、頭部の近くに置いたコイルに電流を通すことで磁気誘導を引き起こして皮質を刺激する技術です。


EEGは、これまで長く用いられてきた脳波記録方法です。マッスィミーニのトリックは、TMSで「皮質をピング」し、磁気パルスによって誘発された脳の活動の伝播をEEGによって記録する技術です。


この組み合わせで実験を行うには、TMSによる強い電流の影響から迅速に回復し、わずか数ミリ秒後に生じる脳の活動を正確に描き出す能力を持つ特殊な増幅器が必要となります。


マッスィミーニはまず、覚醒、睡眠、麻酔状態にある健常者を対象にテストを実施しました。

被験者に意識がないときには、TMSパルスは最初のおよそ200ミリ秒に限定される、短く焦点の絞られた活動しか起こりませんでした。

被験者に意識があるときには、まったく同じパルスによって、複雑で長期間持続する一連の活動が脳に起こりました。

その際、刺激を与える箇所の正確さは関係がないようでした。皮質のどの位置にパルス刺激を与えても、その後の反応の複雑さと期間によって、有用な意識の指標が得られたのです。


この結果は、ドゥアンヌのチームが感覚刺激を用いて行なった実験の結果とも合致します。

このように、300ミリ秒が経過してから生じる、脳全体を覆うネットワークへのシグナルの伝播は、意識の存在を示す指標になります。


マッスィミーニは、植物状態と最小意識状態の患者を5人ずつ、および閉じ込め症候群患者二人を対象にテストしています。


被験者数は少ないですが、テストは100パーセント正確でした。

意識のある患者のすべてが、皮質へのパルス刺激に対して複雑かつ長続きする反応を示したのです。


また、5人の植物状態の患者を対象に、数ヶ月にわたる調査が行われました。調査期間中、そのうちの3人は「最小意識状態」を取り戻し、コミュニケーション能力もある程度回復していますが、まさにこの3人の脳のシグナルには、複雑性の回帰が見られました。


グローバル・ワークスペースモデルが示唆するように、前頭前野や頭頂葉へのシグナルが伝播したことが、患者の意識レベルを示す信頼性の高い指標になることがわかったのです。


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