トヨタの問題解決のプロセスは、8Stepです。
これは、下の図のようにPDCAでの説明できます。
Step1問題を明確にする
Step2問題をブレークダウンする
製造現場の改善もこの問題を明確に見える化するところから始まります。
張富士夫元名誉会長が、若い時に大野耐一元副社長から、製造ラインの脇に円を描いて、「何か見えてくるまでそこで観察せよ」と指示されたという逸話は有名です。
製造現場では、「表取り(おもてどり)」=「現状のありのままの姿を表に出す」
ところから改善が始まります。
「ものと情報の流れ図」
リーンの世界では、Value Stream Mappingといっているようです。
そして記録した現状のやり方を、
標準(きへんのヒョウジュン)に対して、表準(おもてヒョウジュン)と呼びます。
車両開発のプロセスカイゼンでも、
同じやり方で進めることができます。
左の写真は、車両開発プロセスの
表準(おもてひょうじゅん)の例で、
表準にカイゼンアイデアを付箋に書いて貼り付けている状態です。
製造現場では製造ラインという設備の集合がプロセスとして目に見ることができます。
それに対して、車両開発のプロセスはもちろん物理的には存在しません。
それを紙に落とし込んだのが、上の写真の表準です。
「見える化」と同意味に使われる言葉に「可視化」があります。
生産現場で、これらの言葉が生まれた背景などを考えてみますと、
下記のように定義した方がより分かりやすいのではないかと考えています。
「見える化」物理空間の現象を目で見えるようにすること
「可視化」情報空間の現象を目で見えるようにすること
銀行の窓口業務のカイゼンをしたときに、窓口担当者(テラー)の気持ちを
これを「可視化」という言葉で表現するとおわかりいただき易いのではないでしょうか?
品質問題のカイゼンに、メンバーの気持ちが揃わなくて困っている職場では、
関係者を集めてもらい、QCの親和法を使って2時間のセッションをしました。
関係者一人ひとりが、日頃感じていること、
嬉しいことでも、困ったことでもなんでも良いから、
あらかじめ付箋に書き出しておいてもらいました。
セッションでは、一人ひとり付箋に書いたことを説明しながら、
模造紙に貼っていきました。
ある言葉が参加者全員の心に眠っていた問題意識に、火をつけました。
後から後から、畳みかけるように意見が出てきました。
2時間があっという間の出来事でした。
もちろん生産現場にも情報空間があります。
現場の管理監督者の脳(マインド)の中は情報空間です。
現場の管理監督者が、自らの役割・使命をはっきりと意識して、行動を改善した事例の発端は、まさに「可視化」でした。
情報空間を「可視化」して、改善につなげていく活動をどんどん続けてまいります。
(ご参考)「見える化」と「可視化」
「見える化」とは、1998年にトヨタ自動車が発表した「生産保全活動の実態の見える化」に登場した用語です。企業活動における業務の現状・進捗・実績などを常に見えるようにすることで、業務上の問題に現場レベルで能動的に対応できる環境を実現。また、問題の発生を未然に防ぐ環境にするための組織体質の改善や、業務改善の継続的な取り組み全般を意味します。
似た意味で「可視化」という表現が用いられることがあります。企業活動における可視化とは、見えにくいものを見やすい状態にすることを指します。一方「見える化」は、見えるようになった問題点の対処の判断基準が常に組織内で共有され、問題や課題に対する改善が、繰り返し継続的に行われていく状態にあることを指すという点で異なります。
Iot用語辞典 キーエンスより
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