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少なくとも、「無為徒食」と言われない、実行するマネジャーになりましょう。

元エルピーダメモリ社長の坂本幸雄氏へのインタビュー記事(日経クロステック5/19)を、見つけました。


坂本氏はエルピーダに移られる前に、日本ファウンドリー社長として日本で初めての本格的なファウンドリー事業を軌道に乗せました。


Q:そもそも日本人は、製品を考え出す想像力よりも製造プロセスの生産性や品質管理が得意だといわれてきました。本来、ファウンドリーに向いていたとも思うんですが、実際のところどうでしたか。


A:民族性はあまり関係ないですね。むしろ経営力の問題だと思います。

働いているのが日本人でも、工場を放っておくと歩留まりは上がりません。経営者自らが状況を把握して、どんな対策を打つべきか決断する必要があります。


坂本氏が日本ファウンドリーに入ったころは、製造ラインのたくさんの持ち場に固定的に人を張り付けて、あとはそのままに放置されていた状態だったようです。


「放置状態」は、日本の色々な工場でよく見かける、おなじみの景色です。


「作業者任せ」、「無管理状態」などは同意語ではないでしょうか。


歩留まりの向上と工数低減は、製造ラインでは毎日管理すべき重要な重要な管理ポイントなのですが、そこまで行かずに、日々トラブルに追われている現場がなんと多いことでしょうか。


また、日々のトラブル対応が常態化しているために、それを解決することが仕事になっています。


工場では日々色々なことが勃発します。


それをモグラ叩きのように、叩いてみて、もぐらが引っ込んだら別の穴からもぐらが噴出してきます。



こんなことは、初期流動のほんのいっときだけにしたいものですが、固定的な日常業務になって、専任の担当者をつけてしまう職場が多いのが実情ではないでしょうか?


トラブル対応が毎日の仕事なんて、考えただけでもうんざりします。


モグラ叩きゲームでも、モグラの穴の総数は増えたりしません。


日々色々なことが勃発しているようですが、問題を根っこから潰して仕舞えば、モグラは2度と出てきませんし、モグラの穴も増えません。


当時の日本ファウンドリーには、製造現場の日常管理をできる人がいなかったようです。


半導体工場の生産性を左右する最も大事な指標である、歩留まりさえ管理状態ではなかったようです。


坂本氏は、すぐに「毎日歩留まりのレビューをやろう」と言って、ご自身が参加して毎日やり始めました。


本来社長がやるべきことではありませんが、現場のスタッフから、係長、課長、部長、副社長という分厚い管理層があるにもかかわらず、誰一人歩留まり管理をやろうという人がいなかった。


何でこんなに歩留まりが悪いのか、どこに問題があるのか、昨日と比べて上がったり下がったりしたのはなぜなのか、などなど毎日話し合います。毎日やることが重要です。


なぜなぜを日常的に使うことをお勧めします。


もともと日常管理を地道にやることには、何も難しいことはありません。


毎日続けていると、最初は何も答えられなかったスタッフが、測定や観察の試行錯誤を通じてだんだん気が付いた問題点を挙げられるようになってきます。


なぜなぜの思考回路が、脳に出来上がるようです。


どこにどんな歩留まりを左右するファクターがあるのか、それがどうなっていると歩留まりにどう影響するのか、というようなことを徐々にみんなが分かってきます。


これは、教育というよりは訓練です。

坂本氏も、教育・訓練の重要性をご理解された方です。


 

「そもそも日本人は、製品を考え出す想像力よりも製造プロセスの生産性や品質管理が得意」なんていうのは幻想にしかすぎません。


それよりも、自分の保身ばかりを考えて、新しいことをやりたがらないような人を重要なポストにつけてしまうことが、大きな間違いです。


坂本氏は日本ファウンドリーの社長として、まず生産性向上に成功しました。


次にコストなどで韓国や台湾の企業と競争できるように、規模の拡大作を日本の大手電機メーカーの何社かの人に提案しました。


「台湾UMC(聯華電子)が半分出資して、残りの半分を日本の大手電機メーカー何社かが出資するようなジョイントベンチャー方式で、日本にも大きなファウンドリーを作りませんか。」という提案です。


企画スタッフレベルでは、賛同を得ました。

しかし、社長への提案は坂本氏にやってほしいと言われました。

企画スタッフも、自分の仕事をしていません。重要な提案のヒントをもらったのだから、なぜそれを自らの提案として、トップに計らなかったのでしょう。


具体的にはシャープのほかに、NECやソニーなどと話をしたそうです。


日本ファウンドリーとしても、ソニーのチップを造れれば大きな収益源になる。ということでかなり説得力のある構想でした。


社長は、それはいいアイデアだと言って賛同してくれました。


明くる日には社長の方から直接電話がかかってきて、改めてぜひ前に進めたいと言ってきました。


ついては技術担当の副社長を担当にするので彼と話をしてほしいと指示されました。


しかし、その副社長は、とてもいいアイデアですがゆっくり進めていきましょうと言います。


社長との話の感触とは逆に、どうもあまり前向きでない雰囲気です。


これは前に進まないかなと、嫌な予感がしたのですが、案の定、その会社からの出資は実現しませんでした。


次に、エルピーダ時代の話に移ります。


部長以上の人たちが朝会社に来ると、まず入れてもらったお茶を飲みながらゆっくりと新聞を読み始めることです。


それからおもむろに仕事を始めます。そして夕方の5時を過ぎるとさっさと退勤して、飲みに行ったり家に帰ったりするんです。


生き馬の目を抜く半導体業界なのに、彼らだけを見ていたら楽々で、まるでパラダイスのようでした。


組織の階層が、事業本部長、副本部長、部長、次長、課長など、合計で10を超える階層があったそうです。


当然ながら意思決定や情報伝達は遅くなります。製品の開発計画なんか、電話帳みたいな分厚い書類を稟議(りんぎ)で通さないと始められません。


あるときこんなこともありました。

営業の本部長を呼んで、「どこそこの顧客企業は今どうなっている?」と尋ねると

  • 本部長では分からないと言って副本部長を呼びます。

  • 副本部長がやって来ると、やはり分からないと言って部長を呼びます。

  • 部長は課長を呼び、課長が来ても分からない。

  • 課長が主任クラスを呼んでようやく、僕の欲しかった情報を持っているようなありさまでした。


これではどうにもならないと思って、入社した11月から翌年の1月くらいまでに組織改革と幹部の整理をやりました。


何も仕事をしていない幹部クラスの人たちの多くは、親会社に戻ってもらいました。


よくアジアの国では、賄賂を渡さないと仕事をしてくれないなどという話を、笑い話で聞きますが、この話は日本の話でした。


私は、「半導体業界が、日米貿易摩擦によって廃業に追い込まれた」という話ばかりを聞いていました。


しかし、潰れるべくして潰れてしまったとしか思えません。


生産性を上げる術も知らない現場のスタッフ。


部下が何をやっているのか、説明できない管理職、課長、部長、本部長、副社長。


あなたの組織にもこのように、何もしない人はいませんか?


いや、何もしないではなく、居るだけで会社を潰してしまう人たちです。


このような人を4文字でピッタリと表現できる言葉がありました。


「無為徒食」



最後にもう一度書きますが、「そもそも日本人は、製品を考え出す想像力よりも製造プロセスの生産性や品質管理が得意」なんていうのは幻想にしかすぎません。


やる気さえあれば、誰にでもできます。


坂本氏のインタビューへの回答はまさにこれを言い当てています。


民族性はあまり関係ないですね。むしろ経営力の問題だと思います。

働いているのが日本人でも、工場を放っておくと歩留まりは上がりません。経営者自らが状況を把握して、どんな対策を打つべきか決断する必要があります。


コーポレートコーチングは、現場管理をカイゼンするよりも、この経営力=経営トップに働きかけます。


経営トップがやるべきことを理解して、わかりやすくそれを社内で共有する。


トップの方針は、社員のやりたいことを包含するような抽象度の高いものを設定します。


こうすれば、コレクティブエフィカシーが上がり、全員が動き出します。


モグラを根絶やしにすることの重要性、

毎日の歩留まり管理(日常管理)の重要性にも気づきます。


社長の方針を自分の課題と理解して、迅速に動き出す副社長の姿も見られるでしょう。

(しかし、返す返すも情けない副社長ですね。)

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