「いっときの失敗を将来の成功の糧とする 」3/23の記事で、ある壁にぶつかったチームの事例をご紹介しました。(記事の最後部です。)
これを自らの失敗/問題として認識して、次に繰り返さないという考え方にならないと、これからも延期の癖はこの会社の風土としてつきまといます。悪習です。
今回起こったことを問題として、原因をしっかりと追求して次は同じ失敗を繰り返さないという姿勢が重要です。
失敗を問題として捉えることができるか?
問題の原因を見つけることができるか?
これが出来なければ、いつまでも同じです。将来の糧とすることはできません。
彼らは、見事に壁を乗り越えました。
そして、より高いレベルへ歩み始めました。
これが本当のPDCAと言えるでしょう。
彼らは、元々チャレンジングな開発課題に挑戦していました。
開発構想段階では、それまで彼らの持っていた知見で検証しながら進めていました。
その開発構想段階では、最善を尽くして検討し、新たなモデルが実現できると思っていました。
しかし、残念ながら性能試験で問題が発覚してしまい、社内の知見を集めて、さらに検討しましたが、プロジェクトの当初の期日に間に合いませんでした。
トップに相談し、正式に延期を決定しました。
私は3月から4月にかけて、彼らが大きな岐路を迎えていると考えていました。
そこで、「みんなでじっくり考えてほしい」というメッセージを送って、見守りました。
まさに、
失敗を問題として捉えることができるか?
問題の原因を見つけることができるか?
ここが大きな分かれ目だったのです。
トップからの延期の意思決定を受けて、彼らが少し安心しているような気持ちも、私は感じていました。
「ここで気づいてくれたら本物。」という気持ちで、待ちました。
今回の活動をPDCAで見てみます。
もちろん計画には、いつ・何を開発するという基本的な目標が設定してありました。
その「いつ」を延期してしまったことに対して、自分達のそれまでの習慣で考えると、はじめはそれほど大きな問題だと思えなかったようです。
この自分達の考え方の習慣というのが、スコトーマ(心理的盲点)です。
プロジェクトのマイルストーンに、「いつ」という時期が明確になっていたのですが、スコトーマが貼り付いていたことにより、その納期を守れなかったことを、問題と捉えることができなかったのです。
でも、チームメンバーで議論を重ねることにより、スコトーマが外れました。
問題を問題として、受け止めることが出来るようになりました。
そして、その2週間後には、良い知らせがありました。
失敗を問題として捉えることができたか?ーーYes.
問題認識ができるようになったので、
構想段階の構造解析のプロセスに問題があったことが、
見えるようになってきました。
問題の原因を見つけることができたか?ーーYes.
問題の原因をすっかり具体的に整理することができました。
そして、解析方法の改善策を一つ一つ立てることができました。
さらに、それを具体的な行動計画に落とし込み、順番に進めています。
この問題解決の過程で、社内に頼りになる頭脳を持った集団がいることも分かって、今では、タッグを組んで改善策を練ったり、自分達が知らなかった知識いついてレクチャーを受けています。
その集団とは、社内の研究部門ですから、彼らがその存在を知らなかった訳ではないのです。
しかし、自分達に欠けている知識があることに気づいてからは、今まで関心がなかった人たちのことが、急に大きな存在として見えるようになって来ました。
前回の彼らのプロジェクト活動では、プロセスをしっかりと作り上げて来ました。
そして、みんなで議論したことにより、プロセスの一部に問題があったことがわかりました。
そして、そのプロセスの問題をカイゼンすることが出来ました。
開発プロセスに磨きがかかりました。
もう一つの要素として、カイゼン後のプロセスを回すためには、これまで持っていなかった知見を学ぶ必要性があることも、わかりました。
開発部門の協力を得て、今その知識を学んでいます。
新しい知識を学び始めたら、今まで気づかなかったような細部にも目が届くようになって、新しい現象も見えて来るようになりました。
これを機に、自分達の組織に必要な知識をもう一度洗い出す必要性のあることにも気がつきました。
それを教育プログラムとして整理して、新入社員や転入者に対する教育の仕組みを作ることになりました。
ここまでできれば、今回の失敗を糧にして、1段階ステップアップできたことになります。
今回の失敗は、ムダにはなりませんでした。
今回の失敗から学んで、新たに作り上げた価値
バランスシートに記載されない、貴重な資産としての開発プロセスの確立
自分達に欠けていた新たな知見の発見と習得
自分達の組織に必要な、人材育成の仕組み作り
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