ネットを眺めていたら、こんな説明に出くわしました。あるコンサルタントの方の説明です。
報・連・相
「たとえ好ましくない情報でも、部下から上司に対して気兼ねなく報告・連絡・相談できる風通しの良い職場環境を整えるべき」という「上司側への戒め」であり、「報連相ぐらいやれよ!」と部下を叱咤するための言葉ではない。
ちょっと乱暴ですね。
報連相だけに限定して話をしてしまうと、このような一方的な説明になってしまいます。
どうも、命・解・援のことを常識と思っていない人が意外に多くいます。
人材育成とは、部下に課題を与えて、部下が課題を解決するまで、責任持ってフォローするということです。
上司の存在意義とは、これ以外に何がありますか?
部下が出してくれた成果が、そのまま上司の成果になります。
コーチングで、上司が部下にコーチしてはいけないという意味もここにあります。
このブログでもご紹介していますが、「トヨタの問題解決」研修はまさに、これを実践してもらう教育になっています。
この研修を受ける前段階として、受講者は上司と相談して、この研修期間を通して解決する課題を決めます。
受講者自身がいつも認識している課題があれば、
部下は上司に「これを解決したいのですが、いいでしょうか?」
上司も部下の積極的な意志は尊重しながらも、
「うん、だったらもう少し目線を上げて、ここまでやってみようよ」と指示します。
さらに上司は、解説と援助のタイミングを見計らって適宜コミュニケーションをします。
お互いに信頼関係があれば、部下は課題解決の進捗を報告・連絡します。
そして、もし壁にぶち当たった時には、躊躇なく上司に相談を持ちかけるのです。
先ほどの先生は、このような世界しか見たことがないのだと思います。
「これやっといて」
「あれどうなった?」
「まだできないの?」
「いつになったらできるの?」
上司が一方的に部下をフォローするとこうなってしまいます。
ブラック企業では、もっと下品な言葉を使っているのかもしれません。
しかし、ブラックとまでは行かない企業でも、このような上司は結構いるものです。
まずは、
上司が部下に先にやるべきことは、命・解・援です。
「命令」:上司は部下に対して、業務内容等について正確に命令する
「解説」:上司は部下に命令する際、 その意図を部下が納得できるように具体的かつ明確に解説する
「援助」 :上司は命令を出すだけでなく、部下がその業務をきちんと遂行できるように教育等の援助をする
報・連・相は、それを受けて部下が上司に対してやるべきことです。
「報告」:仕事における上司からの命令・指示等を受けて、部下が業務に取り組む際、その進捗状況等を上司に報告する
「連絡」:業務遂行に支障を来しそうなこと等について、部下は自分の意見・憶測を含まず、客観的かつ速やかに上司に連絡する
「相談」:業務の遂行途中で、 自分だけで判断するのが難しい時に、部下は上司にその対処の仕方等を相談する
報・連・相は、先ではありません。上司が命・解・援をしないから、報・連・相が返ってこないということなのです。
当たり前のことです。
「たとえ好ましくない情報でも、部下から上司に対して気兼ねなく報告・連絡・相談できる風通しの良い職場環境を整えるべき」ということしかいえないコンサルタントでは、この先心細いですね。
このかたは、二項対立で、上司が悪いといえば済むと思っています。
そんな簡単なことではありません。
上司の側から、命令→開設→援助をするのが、本筋です。
この人は、あるべき姿を知らないまま、コンサルタントの仕事をしているとしか思えません。本当に情けないと思います。
命令→開設→援助をすることで、報告、連絡をしようというモチベーションが生まれて、会話がつづいていきます。
困った時に、命・解・援をしてくれた、上司の顔が思い浮かんだら、「相談」をしようという気持ちになります。必ずそうなります。
コミュニケーションは、当たり前ですが、こちらから投げかけたものに、何が返ってくるかということです。
そしてまた、優しく投げ返すのです。課題が解決するまで続けるのです。
甘やかせと入っていませので、誤解しないでください。
「よくやったね。」を最後に言えるような関係が普通なのです。
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