「意識の研究」(スタニスラス・ドゥアンヌ)を学ぶことは、コーチング理論の理解をさらに深めることができます。
「無意識の書き替え」などにおいて、独自の味をつけていきたいと勉強しています。
この一連のブログ投稿は私の学習ノートです。今回は、無意識、意識に続くテーマ
「意識のしるし」を書いていきます。
私たち人間と同様に、動物が意識的な経験をしていないということは、考えられません。
意識のワークスペースは、さまざまな脳領域間で情報交換を促進するのに重要な役割を果たしています。
マカクザルは、前頭前皮質とその他の関連する皮質を結ぶ長距離神経結合のネットワークを持っています。
マウスでさえ、小さな前頭前皮質と帯状皮質を備えており、それらは視覚情報を保持する際に活性化されることもわかっています。
したがって、ワークスペースシステムは哺乳類に属する動物のすべてが備えている可能性があります。
動物に意識があるか否かの判断は、身体の解剖学的構造に基づいて下されるべきではないと思います。
言語能力は持っていませんが、サルは、コンピューターのキーを押すことで、何を見たかを報告させるように訓練ができます。
サルが人間と似た主観的経験をすることを示す証拠が次第に集まりつつあります。
光を見たときにはあるキーを、見なかったときには別のキーを押せば報酬を与えるという方法でサルを訓練します。
サルは言語を能力を持ちませんが、あるキーを押すことで、「私は光を見たと思う」、「私は何も見なかった」とそのサルが言ったととらえることができます。
顔のイメージを見たときにはあるキーを、顔ではないイメージを見たときには別のキーを押すなど、サルに知覚イメージの分類を教えることも可能です。
その結果、サルは人間同様錯視を経験することがわかりました。サルの両方の目に異なる画像を提示すると、両眼視野闘争があることがわかりました。
両方の目に異なる提示したイメージは、私たち人間と同様に、意識にのぼったり、消えたりしているのです。
画像をフラッシュし、その直後に無作為なマスクを表示させると、マカクザルは、視覚皮質には短期間ニューロンの選択的な放電がありますが、隠された画像を見なかったと報告します。
このように、人間同様マカクザルも、ある形態の識閾下の知覚や、イメージが可視化する閾値を持っています。
一次視覚皮質に損傷を負うと、サルも一種の盲視を経験します。損傷を負ったにもかかわらず、損なわれた視野の内側にある光源を正確に指すことができるのです。
しかしサルに光の有無を報告できるよう訓練すると、「光がない」ことを示すキーを押して、損なわれた視野内に提示された刺激を分類することができます。
これは、人間の盲視患者と同じく、彼らの知覚的な気づきが失われていることを示します。
マカクザルは、脳内のワークスペースを用いて、過去を振り返っています。
人間同様、前頭前野や頭頂葉のニューロンの放電を維持しているのです。
それだけでなく、マカクザルが映画を見ているとき、前頭前皮質が人間より活性化しやすい事もわかっています。
気が散らないよう統制する能力は、人間のほうが秀でているようです。
また映画を観ている最中、人間の前頭前皮質は外部の情報の流れから自らを切り離して、心を自由に飛翔させることができます。
マカクザルも、安静時に活性化する領域から成る、自発的な「デフォルトモード」ネットワークを備えています。
これらの領域は、私たちが内省したり、何かを思い出したり、あるいは心を飛翔させるたりする際に活性化する領域と同じです。
昏睡状態から回復しつつある患者の残存意識をテストするために用いた局所/大局テストについてはどうでしょうか。
音の連続「ビー ビービー ブー」の繰り返しのなかでは、「ビー ビー ビービー」が例外的なものであることに、サルが気づくか否かをテストしました。その結果、サルは明らかにそれに気づいていることがわかりました。
サルの前頭前皮質が、大局的な逸脱音にのみ反応し活性化したことがfMRI画像でわかりましした。人間同様、この反応は、サルに麻酔をかけると消失します。
別の実験では、マウスでもこのテストで意識のしるしが検出されました。
将来さまざまな生物種を対象にこのテストを行ない、あらゆる哺乳類、そしておそらくは鳥類や魚類の多くの種に、何らかの形態の意識のワークスペースが収斂進化した証拠を発見できるでしょう。
Comments