リーン製品開発という方法があります。トヨタが利益を上げ続けていることに注目して、TPSトヨタ生産方式をベンチマーキングして、リーン生産方式を作りました。その後、半年間トヨタに常駐して、製品開発をベンチマーキングしました。
その結果リーン開発方式が出来ました。そしてそれがIT業界に伝播して、アジャイルという方法ができたようです。
私は、「リーン開発方式は、リーンではない」と思うのです。
LEANの言葉には、「痩せた」「脂肪のない」といった意味があります。
リーン開発の4つのポイントとして、下記が挙げられています。
①セットベース開発
②チーフエンジニア制度
③流れとリズムの確立
④責任ある専門家チーム
私は今までに聞いたこともない、①セットベース開発に何の意味があるのか、長年理解に苦しんでいました。
「セットベース開発」は、「構想設計段階で多くの代替案を並行検討して、徐々に絞り込み、最終的には一つの案に集約する開発手法」と説明されています。
これが回り道のようだが、結果的には効率的だという説明ですが、ほとんど理解できませんでした。
そして、最近になって、トヨタの製品開発でCE(チーフエンジニア)を務められた方に聞いてみました。
長年の疑問が解けた一瞬でした。私にとっては記念すべき瞬間です。
やはり回り道以外の何者でもなかったということが結論です。
トヨタではそんなことをやっていなかったのです。
コンセプト(構想)が、フロントローディングでしっかり固まっていることが重要です。
それが固まり切れていないので、代案を複数作る必要が出てきてしまいます。
代案の数だけ工数が多くかかります。
そして、「意思決定も遅らせろ」という言葉も付け加えられています。
担当の技術者は、決定が遅れれば遅れるほど、自分の担当している箇所が中途半端で、ストレスを感じるのではないでしょうか?
CE(チーフエンジニア)の大事な仕事は、意思決定です。
「これで良いでしょうか?」とプロジェクトメンバーに聞かれて、
「代案の評価結果を待っているので、今はわからない」というリーダーを信じられますか?
設計開発に携わっている方々でしたら、全く当たり前に感じられませんか?
私が歩いているところでは、これが当たり前でなくなっているように感じられます。
私のフォーラムでは、GAFAがベンチマーキングしたトヨタの主査制度について、かなりの記事を蓄積しました。わかる人にはわかってもらえると思います。
日本の製造業を元気にすることが、私のゴールです。
お声掛けいただければ、お伺いします。
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