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執筆者の写真Hatsuo Yamada

モチベーションは向上させるものではありません

日経 BizGateリポート/人材 2022/8/3の記事に、『「1on1」を導入する職場が増えてきた。』と言う記事を見つけました。


「えっ?今頃こんなことが始まったの?」と、私は驚きました。


Googlで、「1on1」を検索してみると、上位に「1on1」のコンサルティング会社の広告のURLがたくさん出てきましたので、一番上の会社のHPを少し覗いてみました。


すると、ポータルサイトに、ご利用企業(一部)の名前が出てきます。

ほとんどが有名な日本の一流企業です。


幸い私の出身の企業は出てきませんでしたので、少しホッとしました。


日経 BizGateリポートの記事に戻ります。非常に情けない現状が書かれています。


上司・リーダーが不慣れなため、うまく結果につなげられていないケースも珍しくないということです。


「最近、どう?」「何か、言いたいことある?」といった、ぶっきらぼうで相手任せの問いかけは、本音の発言を引き出しにくい。


それどころか、「働きぶりに興味を持ってくれていない」という絶望感を与えてしまう恐れすらある。

「1on1」は取り調べではない。名前が示す通り、1対1の対話だ。まず上司・リーダーから先に自分の本音を語って、相手の意見を引き出す必要がある。ここでも「語る力」が試される。語らない上司・リーダーには魅力を感じにくいものだ。近ごろは「聞く力」の重要性が注目を浴びるが、「好きにしゃべれ」という聞き置く態度では、「聞く力」は発揮されない。「まずは上司・リーダーから語り始めるべき。その際、語るべき中身を持っているかどうかが問われる」勤め先や職場への共感・愛着を意味する「エンゲージメント」が企業の生命線となり始めたようだ。離職者が相次ぐ職場では、チームが機能せず、結果を出しにくい。エンゲージメントはモチベーションと表裏一体の関係にあり、「やる気管理は管理職の主要業務と位置付けられつつある」。

(上記アンダーライン部は、モチベーションジャパン社長松岡保昌氏のコメント。)


私は、松岡氏の指摘している「やる気管理」なんてものは

できるものではないと思います。



 

アンドリュー・S・グローブは、インテルの3番目のCEOに就任、

同社を世界最大の半導体企業に変えた経営者です。


彼のさまざまな業績の中でも、インテルでの業績だけで、「20 世紀の偉大なビジネス リーダーと並ぶ価値がある。」と言われています。


彼の有名な著書『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』(アンドリュー・S・グローブ, 小林 薫 著)を読むと、深い洞察力に基づいた、オーソオドックスな、経営管理の視点を学ぶことができます。


下記は、『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』の中からモチベーションについての記述を引用しました。

  • マネジャーはどうやって部下にやる気を起こさせるか。一般的に、このことばには、何かを他人にさせるというような含みがある。だが、私にはそういう(部下にやる気を起こさせる)ことができるとは思えない。モチベーションなるものは人間の内部から発するものだからである。したがって、マネジャーにできることは、もともと動機づけのある人が活躍できる環境をつくることだけとなる。


  • より良いモチベーションというのはとりも直さず業績が良くなることであって態度や気持ちの変化ではないのであり、部下が「自分はやる気が起きた」などということにはなんの意味もない。大切なのは、環境が変わったために〝業績(遂行行動)〟が良くなるか悪くなるかである。態度というものはひとつのインディケーターとして、人間のモチベーションという「ブラックボックスに切り込んだ窓」になることはあるが、それはわれわれの望む成果でもアウトプットでもない。われわれが望むのはある特定の技能水準における遂行業績向上ということである。


  • ひとたび自己実現がモチベーション源となると、行動に対する人の意欲は無限となる。かくて、この欲求の最も重要な特徴は、他のモチベーション源は欲求の充足とともに消えてしまうのに対して、ひとり自己実現への欲求だけは、より高い行動水準へと、人を推し進め続けてゆくものなのである。


次に苫米地コーチングの苫米地博士の書籍から関連の項目を引用します。

  • 本来のモチベーションは、外部から与えられるものではなく、自発的に起こるものです。これは、建設的動機と呼ばれ、自分自身が価値をおいている対象に向かう「○○したい」という意思によって生まれるものです。『コンフォートゾーンの作り方』(苫米地英人 著)より


  • モチベーションとは、コンフォートゾーンからはずれたこと(エアコンのたとえで言えば、室温がエアコンの設定温度の範囲よりも高くなったり、低くなったりしたこと)の結果だと言えるわけです。『コーポレートコーチング(下)』(苫米地 英人 著)


この二人のアンドリュー・S・グローブは、まさに認知科学の苫米地博士の見解と同じことを記していることがわかります。


苫米地博士の「モチベーションとは、コンフォートゾーンからはずれたことの結果」と言う表現について、もう少し説明を付け加えます。



この図のように、自分自身が価値をおいている対象(ゴール)に向かう「○○したい」という意思がモチベーションとなって、現状のコンフォートゾーンの外側の世界=ゴールへ向かうのです。


極めて卑近な表現になってしまいますが、部下が嫌がっていることを、「1on1」によって、”おだてたり、そそのかしたり”することは逆効果です。


ここまで説明すれば、勘の良い方はご理解いただけたのではないかと思いますが、部下のやりたいことと、組織のゴール(課題)を結びつけるのが上司の役割です。


そのために、もしかしたら「1on1」と言う手段も有効になるかもしれません。


しかし、人の脳をうまく活用して成果を上げていくには、この脳の働きを知らずして「1on1」をやっても役に立つわけがありません。


むしろ、逆効果を招いてしまうかもしれません。


「1on1」と言う手法を使うなら、トヨタ流のTQMを参考にしてみてください。



「上司は部下に課題を与えて、その課題解決まで責任を持つ」と言う考え方が基本です。

部下に「あれやっといて」と課題を投げつけて、「なんだ、まだできないの?」と言うことを続けていたら、お互いの信頼感も育ちません。


部下は課題を解決して、達成感を感じます。

もし、やり残したことがあれば、本人がわかっています。


そのタイミングで上司は、「よくやったね。欲を言えば、ここをもう少し掘り下げると完璧だったね。」


「はい、さっき他のメンバーに報告した時に、気づいていました。引き続き、深掘りしてみます。」


こんな会話になれば、成功です。


コミュニケーションについては、Udemyに私の講座を設けています。このブログを読んでいた方には、無料クーポンを差し上げます。


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