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ベクトル合わせ その後の展開

更新日:2022年5月29日


2021/9/10ブログ記事「ベクトル合わせ」 の中で私は、ある組織のベクトル合わせの事例を皆さんに紹介しました。


ある製造会社のある製品を作っている製造部署です。


品質が悪く、顧客から怒られっぱなしでした。

あのままでは顧客会社から本当に信頼を失ってしまうところでした。


それどころか、当事者の全員が自信を失ってしまうところでした。


トヨタ式では、「ビジョンやミッションによるベクトル合わせ=あるべき姿の共有」これを大切にしています。


参加者全員の心に眠っていた問題意識に、火をつけたことはすでにお話ししました。


私はあの時のセッションで、確信をつかみました。


これから多少辛いことがあっても、みんなで乗り越えて行くことができる。


力が湧き上がってきたことを感じることができた瞬間でした。


でも、どんな薬でも、効果は長く続きません。

その後いろいろなことがありました。


あのセッションに参加した人の中でも、薬が切れ始めた方も出てきました。


これは当然の成り行きです。


皆さんも経験があると思いますが、自分一人でも、集団でも素晴らしいアイデアに共感して、「よし!やってやろう」と思った経験はどなたでも持っていらっしゃると思います。


大抵の人なら、学校を卒業して以降、これと同じ様な感動の経験は持っているはずです。


長続きがしなかったから、現在のあなたなのです。😉


個人ですと、あの感動を忘れてしまったら、もうどうにもなりません。

(あの感動が、一時的な盛り上がりだけのものでしたら、話は別です。)


しかしこれは組織の話です。


組織を導くリーダーがこれを忘れなければ、軌道修正ができます。


「あの時の誓いを皆んな忘れちゃったの?」

「でも、皆んなこのままじゃ、ダメだで、盛り上がったじゃない。」


そうなのです。皆んなの気持ちの中には、「なんとかしなきゃいけない」という、抽象的な気持が脳みその中にジワジワっと生まれました。

でも、それだけだったのです。


こここを忘れてしまって安心していると、何も変わりません。よくある話です。


あの時に盛り上がったメンバーは、具体的にこんなところまで考えていたわけではなかったのです。当たり前です。

  • 「標準書を改訂する」

  • 「改訂した標準書はみんなで守る」

  • それをいつまでにやる


あの、セッションでここまで考えることができる人がいれば、とっくにこの組織はうまくできています。

  • 誰がやる

  • (自分じゃなくて他の人がやるんだろ)




カウボーイの話を聞いたことがありますか?


一人、もしくはほんの少数のカウボーイが、千等からの牛の集団をコントロールするには、どうしたら良いか?


牛は集団の中にいると安心感を持つことができます。

どこかに移動するにも、どこに行きたいという特別な望みはなさそうです。


勝手にどこかに逃げて行きたいのではなくて、どこに行ったら安心できるのか、それを考えているだけなのです。


牛と同列に見ているわけではありませんが、「このままじゃまずい!」と思った人の中に、「明日から標準書を順守しよう」なんて考える方がいたら、なんと素晴らしいことでしょう。(逆に、ちょっと気持悪い何かを感じます)


だから、どうすべきかを具体的に示すことができる人が必要なのです。


牛の先頭リーダーを見つけて、その牛にこれから進むべき方向を教えてやれば良いのです。ほとんどの牛はリーダーについて行きます。


カウボーイは、列からはみ出す牛を、犬の助けを借りて、列に戻してあげるだけで良いのです。


当たり前ですが、カウボーイは牛のリーダーではありません、

(実は、私もこの組織のリーダーではありません)


紆余曲折はありましたが、この組織のリーダーは、それが自分の役割だったことを腹に落としました。


順風満帆ではありませんでしたが、とにかく身に沁みて分かってくれたのです。


ここからです。「俺について来い」という言葉は使いませんでしたが、自分の熱い思いを伝えることを、地道にやりました。


皆んな「どうしたら良いか」聞く耳を持っていますから、議論はうまく噛み合い始めました。

それでも、皆んなは標準作業に慣れていません。

終わった作業の間違えをチェックすることが、自分の仕事だと思っている人が大半でした。


誰だって、同じことを何重にもチェックしろと言われても、身が入りません。


この半年間で、作業者の意見を取り入れたわかりやすい標準書が完成しました。


それを使って、試行をしてみました。

実際にやってみると、意外な問題が見えてきましたが、本番前に全てカイゼンします。


これが初めての標準書のカイゼンですが、これからの彼らの重要な仕事は継続的に、標準書を改訂していくことです。

前向きに生産性を上げる活動を織り込んで、標準書を書き換えることが彼らの主な仕事になるでしょう。


まだ、完全というには程遠い部分がありますが、これからが本番です。

問題を発見して、原因を突き止めて、それをカイゼンする。

継続的に完全なものに向かってカイゼンを進めるのです。


(トヨタウエイ:絶え間ないカイゼン=製造だけでなく、全員参加でやっています。)


彼らは製造部署です。

製造部署が本来の仕事のやり方=王道を身につけ始めました。


外注メーカーの品質問題をカイゼンする場合でも、今回の製造部署が歩いてきた道を、外注メーカーさんにも理解してもらい、同じように品質問題のない世界を作っていけば良いのです。


品質保証部署でもベストプラクティスを間近にみていますから、それを横展(水平展開)するだけです。


こうやって、強い製造がでんと座っていると、その会社の組織力が向上して行きます。


ここまで読んでいただいた方には、このような考えをお持ちの方はいらっしゃらないと思いますが、念の為、「僕の仕事は標準化なんてできるわけない!」


確かにそうのような仕事もあるでしょう。でも、あなたの仕事にミスやムダは皆無ですか?


カイゼンは楽しい!

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