ニューロンの自発的な活動が、私たちの目的を持った活動につながる。
- Hatsuo Yamada
- 2022年3月15日
- 読了時間: 3分
更新日:2022年5月29日
「意識の研究」(スタニスラス・ドゥアンヌ)を学ぶことは、コーチング理論の理解をさらに深めることができます。
「無意識の書き替え」などにおいて、独自の味をつけていきたいと勉強しています。
この一連のブログ投稿は私の学習ノートです。今回は、無意識、意識に続くテーマ
「意識のしるし」を書いていきます。
自発的な活動は、グローバル・ワークスペースモデルの特徴のなかでも、もっとも見落とされやすいものの一つだが、私個人の考えでは、もっとも独自で重要な特質の一つだ。
人間の脳の基本的なモデルとして、反射弓という廃れた概念にいまだに固執している神経科学者はあまりにも多いようです。
ルネ・デカルト、チャールズ・シェリントン、イワン・パブロフらに起源を持つ,反射弓というこの概念は、目が腕に指令を発する様子を示します。単に感覚器官から筋肉にデータを転送するだけの入出力装置として脳を描きます。
この概念は根本的な誤りです。自律性は、神経系の第一の特徴です。
ニューロンの内因性の活動は、外部刺激を支配します。脳は環境にただ受動的に従うのではなく、それ自身の活動パターンを生みます。
脳の発達中に、妥当なパターンは維持され、そうでないものは除去されるのです。
子どもにとりわけよく見られるこの創造的なアルゴリズムは、思考を対象に、
ダーウィンの言う自然選択のプロセスを適用します。
この能力の核心には、神経細胞の興奮性があります。ニューロンは進化の早い段階で、自己活性化し、自発的にスパイクを放つ能力を獲得しました。
神経細胞の興奮は、脳の回路によって濾過もしくは増幅され、目的を持った探索行動に変わります。

どんな動物でも、自発的な活動によって歩行や遊泳の律動的な動きを生む神経回路網のおかげで、環境を探索するのです。
霊長類をはじめ、他の多くの生物種では、純粋に認知的なレベルで類似の探索を行っていると考えられます。
私たちは外部刺激がなくても、自発的に活動パターンを生み、新たな計画を立て、実行し、結果が期待に沿わなければ自由に変更する能力が備わっています。この能力は、グローバル・ワークスペイスによるものです。
ダーウィンによって提起された、自然選択を介しての種の変化のプロセスは、グローバル・ワークスペースの内部でも生じています。自発的な活動は、脳が将来の報酬を評価することによって恒常的に脳に刻みます。
この機能を備えた神経回路網は非常に強力です。
選択に基づく学習のロジックは、通常のシナプスの学習ルールと組み合わさって、
誤りから学習し、問題の背後に存在する抽象的な規則を抽出する能力を備えた堅固な構造を生みます。
あらゆるニューロンにおいて、膜電位(細胞の内と外の電位の差)は絶えず変動しています。そしてこのランダム性は、分子を絶えず揺り動かしている熱雑音によって発生します。
ニューロンの膜電位の変動が特定の閾値を超えると、スパイクが放出されます。
ドゥアンヌ達のコンピュータシミュレーションが示すところでは、ランダムなスパイクは、広域的な活動パターンが出現するまでに、多数のニューロンを皮質カラム、細胞集成体、神経回路へと結びつける無数の結合によって形成されます。
最初は局所的なノイズであったものが、暗黙的な思考や目標に適合した自発的な活動から構造化されたなだれへと発達していきます。
「意識の流れ」のなかで私たちの心に常時浮かび、内的世界の生地をなす言葉やイメージは、成長と教育の過程で築かれてきた何兆ものシナプスによって刻まれるランダムなスパイクに、その究極の起源を持っているのです。
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