3月は、私が支援しているカイゼン活動の節目になります。いくつかの成果発表がありました。
技術者として、「良い製品を創りたい」と言う思いは、エンジニアなら当然皆さん持っておられます。
今回ご紹介するチームは、今までトップランナーでした。
今少し足踏み状態ですが、私は彼らが次のステージに上がるための準備になると考えています。
製品開発の開始から、今回は原価企画を導入しました。
新製品の競争相手がたくさんあり、そこで存在感を示すには、製品の構造を大幅に変更することで、原価を低減し圧倒的な競争力の確保を目指していました。
初期の構想段階では、今までにない構造が考案され、もう一息のところまで漕ぎ着けたように感じていました。
しかし、試作品の評価をしてみると、4〜5項目の問題が見つかり、一つ一つ潰していったのですが、最後の課題が乗り越えられませんでした。
そこで、彼らは1年の延期を決断し、トップの承認を取り付けました。
私は技術的なことに関しては、門外漢であり意見を持っていませんが、課題の難易度を測り兼ねていました。トヨタではこのようなことを経験したことがありませんでした。
この活動と並行して、トヨタのCE(Chief Engineer)を経験された、方と話をさせていただく機会がありました。
私は、彼とお会いする前に、Lean製品開発のセットベース・コンカレント・エンジニアリングについて、数年来の疑問を持っており、この機会に北川さんにこの疑問をぶつけてみました。
「山田さんの言っていることは、なんだか分からんね。」の一言で、あっさり疑問は解消してしまいました。
もう少し具体的に説明します。トヨタの製品開発では、CE構想というコンセプトを事前の関係者とのキャッチボールをしながらまとめていきます。
この段階で、各エキスパートから成立性や改良案などを吸い上げて、CE構想に織り込まれていたのです。
ですから、評価後に想定外の問題が起こっても、「必ず成立するはず」というスタンスで、問題を解決することが習慣であり、当たり前なことになっているのです。
この時に使う手法が、「トヨタの問題解決」です。
あるべき姿(ここでは構想)と現状(試験結果)のギャップを一つ一つ埋めていくというやり方で、問題を解決します。
「なぜなぜ・5なぜ」がこの問題解決の主力エンジンとなります。
実際は、品質不具合問題の要因解析のなぜなぜより、もう少し高度な内容になると予想しています。
彼は、「問題解決をみんなが普段からやっているので、必ず関係者が納得できる解決策に辿り着く」とおっしゃっています。
私は、今回のことが「彼らが次のステージに上がるための準備になる」と考えていますので、この手法をうまく使いながら、一緒に解決策を見つけていきたいと考えています。
よく「永遠の課題」などという言葉を使う人がいます。しかし、真剣に取り組めば、そんなものはあるはずが無いのです。
「永遠の課題」にしてしまうのは、今は断言しませんが、その組織に根付いてしまったスコトーマ(心理的盲点・・トヨタ式では思い込みです)の仕業だと思います。
諦めないことは基本です。諦めたら解決できる問題も解決できるわけがありません。
解決策は必ず見つかります。
「永遠の課題」に終止符を打って、次の大きな課題にチャレンジしてもらいたいと考えています。
これも、カイゼンの1種ですので、
「あるべき姿=3ヶ月程度で課題を解決する」とし、現状わかっていることを見える化することから初めて、スコトーマをトーマを見える化する事から始めていきたいと考えています。
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