コンシャスアクセスの数学的な説明

「意識の研究」(スタニスラス・ドゥアンヌ)を学ぶことは、コーチング理論の理解をさらに深めることができます。

「無意識の書き替え」などにおいて、独自の味をつけていきたいと勉強しています。


この一連のブログ投稿は私の学習ノートです。今回は、無意識、意識に続くテーマ

「意識のしるし」を書いていきます。


無意識に関する記事(41件の目次)は、ここです。

意識に関する記事(12件)は、ここです。

 

現代の科学は、現象だけの記述だけではなく、数学的な説明が求められます。


「コンシャスアクセスは、グローバル・ワークスペース・ネットワークに、活性、不活性のニューロンのパターンを刻むことで思考を彫琢する。」ガストン・バシュラール『科学的精神の形成』(1938)


この表現では、意識とは何かという問いに対する直観的な理解はできますが、「ニューラル・ネットワークはいかに機能するのか」、そして「なぜそれが脳波記録のマクロなパターンによって示される、神経生理学的なしるしを生むのか」を説明する、数学理論で置き換えられなければならないのです。


ジャン = ピエール・シャンジューとドゥアンヌは、コンピューター上で、識閾下の処理や意識的な処理に関与する視覚野、頭頂領域、前頭前野の多数の区画をシミュレートしました。


四つの階層的な領域は、フィードフォワード、および長距離のフィードバック神経結合によって接続されています。




各領域は、層状に組織化され視床のニューロンに結合する皮質細胞で構成されています。


  1. 短い刺激を与えると、活性化が低レベルから高レベルへと伝播し、その後消えました。これは識閾下(無意識)の知覚が生じているときの、皮質経路の短期間の活性化の状態です。

  2. もう少し長い刺激を与えると、グローバル・イグニションが生じました。トップダウン結合によって入力が増幅され、長く続く第二の活動の波が生じたのです。これは意識的知覚が生じている活性化の状態です。

  3. これらの仮想ニューロンを局所的な皮質柱にくくり、皮質の、相互結合した細胞層への下位分割の状態を再現しました。 このモデルは、この生物学的な構成を考慮して、カラムの内部のニューロンが互いにサポートし合い、類似の入力に反応する傾向を持つよう設計されています。


彼らは、皮質の特定の部位や、さまざまな箇所に強く結びつく複数の核によって構成される視床を小規模に再現しました。


霊長類の脳の基本的な計算単位、視床皮質系カラムをシミュレートする大雑把なモデルを構築しました。

何ら入力がなくとも、仮想ニューロンは自発的に発火し、ヒトの皮質によって生み出されるものと類似する脳波が形成されるようプログラミングしたのです。


音をコード化するニューロンと光をコード化するニューロンは、互いに干渉することなく同時に活性化されます。

しかし皮質の階層のより高次のレベルでは、ニューロンは積極的に抑制し合い、発火を統合するたった一つの状態、すなわち唯一の「思考」を持つことができます。


重要なのは、長距離のフィードバック投射を介して、情報を下位領域へと送り返す仕組みをネットワークが備えている点で、それによって高次の領域は、自身に刺激を与えたまさにその低次の感覚野に、刺激によるサポートを与えられるのです。


刺激パルスを与えると、それは一次領域から二次領域を経て、さらに三次、四次領域へと、皮質の階層を順次ゆっくりとのぼっていきます。これはグローバル・イグニションの状態です。


このフィードフォワードの活動の波は、視覚野の階層をのぼるニューロンの活動の伝播を模倣する。

しばらくすると、知覚対象をコード化するカラムの全体が点火し始めます。

フィードバック結合を通して、同一の知覚入力に対してコード化されたニューロンは、刺激シグナルを交換しながら強化し合っていきます。

それによって、活動の点火が突然発生します。その間、それに代わる知覚表象は積極的に抑制される。この活動は数百ミリ秒間続きます。


この長さは、最初に与えられた刺激の長さとは基本的に無関係で、ごく短い外部刺激によっても、持続する反響状態が続きます。


コンピューター・シミュレーションによるこれらの実験は、これまでの実際の実験の結果と同じように、フラッシュされた画像に対して、脳が長期間持続するイメージを生成する様子をうまくとらえています。


シミュレーションを実行するにあたり、彼らは次のような数学的洞察を得ました。



コンシャスアクセスは、理論物理学者が「相転移」と呼ぶものに相当します。これは、たとえば水が氷に変わる物理的なフェイズがある状態から別の状態へ、突然移行するような現象を指します。




このように、相転移が生じるとシステムの物理的な特性は、突如として非連続的な変化をしするようになります。


低次元のニューロンからの刺激により活性化された高次元のニューロンは、その低次元のニューロンに刺激を送りますので、システムは、二つの安定状態を持つのです。


中間的な強度の刺激がいかなる状態をもたらすかは予測不可能であり、活動はすぐに減退するか、突然高められた状態に飛躍するかのいずれかになっていきます。


無意識のプロセスは、グローバル・イグニションを引き起こさずに領域から領域へと伝播するニューロンの活動に対応しています。

それに対しコンシャスアクセスは、同期した脳の活動が行なわれる高次元の状態へ突然に移行します。

「現実のニューラル・ネットワークを支配する力学のもとで実際に起こる相転移を適切に説明する理論の構築には、今後も相当な年月がかかるだろう」とドゥアンヌは考えています。


今後は「相移転」が起こる原因を究明することが重要になっています。

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